狭心症
ひとことでいうと
狭心症
狭心症は、心筋に必要な酸素を運ぶ冠動脈の血流が不足し、一時的に胸痛や圧迫感などが現れる病気です。 狭心症を正しく理解することは、早期発見と安全な支援につながります。
動脈硬化で冠動脈が狭くなる労作性狭心症や、血管のけいれんで起こる冠攣縮性狭心症などがあります。
歩行や階段、入浴、食後など心臓への負担が増える場面で症状が出ることがあります。いつもより軽い動作で発作が起きる、長く続く、安静でも起きる場合は不安定化や心筋梗塞を疑い、緊急対応が必要です。
介護職は診断や治療を独自に決めるのではなく、日常生活の変化を継続して観察し、本人・家族・医療職と共有します。急な悪化や普段と異なる症状があるときは、予定の受診を待たず相談することが重要です。
高齢者では、複数の病気や薬の影響が重なり、狭心症の典型的な症状がはっきり現れないことがあります。食事量、睡眠、排泄、移動、会話、表情など、日常生活の小さな変化を継続して見ることで早期発見につながります。本人が症状をうまく説明できない場合は、家族が気づいた変化や以前との違いも重要な情報です。
支援では安全を優先しながらも、本人が行える動作まで奪わないようにします。体調に応じて休憩、動線、福祉用具、介助量を調整し、できることを生かしながら負担を減らす視点が必要です。医療職からの指示は介護記録や申し送りで共有し、症状の経過や生活への影響を次の受診やケアプランの見直しに生かします。
発作時の観察と心筋梗塞との違い
発作の有無だけでなく、何をしていたか、何分続いたか、どこへ広がったか、休むと軽くなったかを記録します。顎、肩、背中、腕の痛みや吐き気だけで現れる場合もあります。本人のいつもの発作との違いが重要な情報です。医師から頓用薬の指示がある場合は、その用法と保管場所を職員間で共有します。薬を使っても改善しない、冷汗や強い息苦しさを伴う場合は、心筋梗塞の可能性を考えて救急要請します。
本人への声かけでは不安をあおらず、今困っていることを一つずつ確認します。介助方法や生活環境を変更した後は、症状だけでなく疲労や活動量も見直します。変化を時系列で記録し、多職種で同じ情報を共有することで、過不足のない支援や受診判断につながります。
現場で知っておきたいポイント
現場では数値や病名だけでなく、本人の普段の状態との違いを確認します。
- 症状の開始時刻、持続時間、誘因を記録する
- 胸以外の顎・肩・背中の痛みにも注意する
- 発作時は動作を止めて安静を保つ
- 頓用薬は医師の指示どおり使用する
- 長引く症状や冷汗・呼吸困難では救急要請を検討する
観察結果は「いつから・どの場面で・どの程度」を具体的に伝えます。介護職だけで医学的判断を完結させず、必要に応じて看護師や主治医、リハビリ職へつなぐことが安全な支援につながります。
申し送りでは「異常あり」だけでなく、測定値、本人の訴え、発生した場面、持続時間、対応後の変化を伝えます。家族にも観察点と連絡の目安を分かりやすく共有し、支援者ごとに対応が変わらないようにすることが大切です。
参考情報・参考文献
国立循環器病研究センター「虚血性心疾患」
狭心症の仕組み、症状、心筋梗塞との違いを確認。
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/ischemic-heart-disease/
参照日:2026年9月29日
日本循環器学会「ガイドラインシリーズ」
冠動脈疾患の診療指針を確認。
https://www.j-circ.or.jp/guideline/guideline-series/
参照日:2026年9月29日
