動脈硬化
ひとことでいうと
動脈硬化
動脈硬化は、心臓から全身へ血液を運ぶ動脈の壁が厚く硬くなり、弾力性を失っていく状態です。代表的なものに、血管の内側へコレステロールなどがたまり「プラーク」を形成するアテローム動脈硬化があります。自覚症状がないまま進行しやすいため、健康診断や他の病気の検査で初めて指摘されることも少なくありません。
加齢に加え、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、運動不足、肥満などが進行に関係します。動脈硬化が進むと血液の通り道が狭くなり、心臓では狭心症や心筋梗塞、脳では脳梗塞、脚では末梢動脈疾患などを起こす原因になります。
高齢者では複数の危険因子を持つことが多く、症状が「年齢のせい」と見過ごされる場合があります。歩くと脚が痛み休むと楽になる、胸の圧迫感、急な息切れ、片側の手足の動かしにくさなどは、血流障害と関係する可能性があります。急な胸痛や麻痺、ろれつの回りにくさがあるときは緊急性を考えます。
介護現場では動脈硬化そのものを見た目だけで判断できません。血圧、服薬、喫煙歴、既往歴に加え、活動時の症状や皮膚色、足の冷たさ、傷の治りにくさなどを継続して観察します。予防と進行抑制には、治療の継続、禁煙、食事、適度な運動が重要ですが、運動量は心臓や血管の状態に合わせる必要があります。
「血管の老化」と表現されることもありますが、単なる加齢現象ではありません。生活習慣や病気の管理によって進行リスクを下げられるため、本人が続けられる方法を多職種で支えることが大切です。
高齢者の生活で気づきたい変化
動脈硬化による血流低下は、生活の中では「歩くとふくらはぎが痛む」「以前より休憩が増えた」「足先が冷たい」といった変化として現れることがあります。左右差のある皮膚色や傷の治りにくさも観察点です。普段の歩行距離や活動量との比較をすると、小さな変化に気づきやすくなります。
食事や運動を一律に制限するのではなく、主治医や管理栄養士、リハビリ職の方針に沿って、本人が継続できる方法を考えます。胸痛や強い息切れがある状態で運動を続けさせることは避けます。また、足の血流が悪い人では小さな靴ずれが悪化することがあるため、足部の皮膚と履物の確認も重要です。
急に片側の手足が動かない、言葉が出にくい、強い胸部症状がある場合は、通常の受診予定を待たず速やかに医療へつなぎます。
現場で知っておきたいポイント
現場では、動脈硬化の危険因子と血流低下を疑う生活上の変化を一緒に確認します。
- 血圧、脈拍、服薬状況を記録し、自己判断で薬を中断しない
- 歩行時の脚の痛み、休むと軽くなるか、歩ける距離を確認する
- 足先の冷感、皮膚色、傷、爪や靴の当たりを観察する
- 胸痛、強い息切れ、麻痺、ろれつ困難は緊急性を考える
- 禁煙や食事・運動の支援は、本人が続けられる小さな目標から始める
観察内容は「いつから・どの動作で・どの程度・休むとどうなるか」を具体的に共有します。症状があるのに無理に歩行や入浴を続けないことが重要です。
足の傷や色調変化が改善しない場合、活動時症状が増えた場合は看護師や主治医へ相談します。急な神経症状や胸部症状では、時間を記録して速やかに救急対応を検討します。
参考情報・参考文献
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患とは?」
動脈硬化の成り立ち、プラーク形成、動脈硬化性疾患との関係を確認。
https://www.j-athero.org/jp/general/2_atherosclerosis/
参照日:2026年9月29日
日本動脈硬化学会「生活習慣病とは?」
高血圧、糖尿病などの危険因子と予防・管理の考え方を確認。
https://www.j-athero.org/jp/general/index/
参照日:2026年9月29日
