10月に入り、食品の値上げが相次いでいる。帝国データバンクが9月30日に発表した調査では、主要食品メーカー195社の家庭用を中心とした飲食料品の値上げは、10月に3,153品目。調味料や冷凍・チルド食品など、日々の食生活に関わる商品も対象となっている。
こうしたなか、高齢者が暮らす住まいの費用についても、値上げの実態を示す調査が公表された。TRデータテクノロジーが9月29日に発表した分析によると、全国の有料老人ホームなど約2万6,000カ所のうち、約4割で家賃・管理費・食費のいずれかが上昇していた。
こちらは2024年と2026年の調査データを比較した結果であり、10月1日から一斉に料金が上がるという内容ではない。ただ、食品価格の上昇を考えるうえで、入居者や家族の生活費にも目を向ける必要性が浮かび上がる。
■ 約2年間で9,698カ所が主要費目を値上げ
分析の対象は、介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅。2024年7月時点と2026年7月時点のデータを比較し、月額費の主要な費目である家賃・管理費・食費の変化を調べた。
このうち、主要費目の値上げが確認されたホームは9,698カ所で、全体の約4割を占めた。値上げの組み合わせでは、「食費のみ」が全体の13%と最も多く、「管理費と食費」が10%で続いた。
ただし、値上げを行わなかったとされる区分には、値上げの有無が不明なホームや、今回の主要費目以外を値上げしたホームも含まれる。残りの約6割すべてが、利用者の負担を据え置いたと読み取ることはできない。
■ 食費の平均値上げ額は月6,300円
それぞれの費目を値上げしたホームを対象に算出した平均値上げ額は、家賃が月10,500円、管理費が月9,200円、食費が月6,300円だった。
食費の6,300円は、食費を値上げしたホームにおける平均額であり、調査対象の全ホームや全入居者に共通する増額ではない。また、家賃・管理費・食費の平均値上げ額は対象となるホームが異なるため、三つを足して一般的な月額負担増とすることもできない。
今回の分析では、食費が1食単位や1日単位で表示されている場合、1日3食・30日分に換算している。別途設定されている厨房維持費やおやつ代も食費に含まれる。管理費には共益費が含まれる一方、水光熱費が別の費目になっている場合は含まれない。
施設タイプ別では、介護付有料老人ホームの値上げ額が総じて高く、家賃と管理費はそれぞれ平均で1万円を超えた。同社は、この集計には料金水準の高い大手企業のブランドが多数含まれると説明している。
■ ホスピス型住宅では地域との価格差も縮小
調査では、ホスピス型住宅の料金動向も分析した。ホスピス型住宅の主要費目の平均値上げ額は、家賃・管理費・食費のすべてで全体平均を上回った。
一方、直近の平均月額費は、有料老人ホームなど全体が15万5,000円だったのに対し、ホスピス型住宅は14万4,000円。値上げ額が大きくても、月額費そのものは全体平均を下回っていた。
立地する自治体の平均月額費と比較した場合、ホスピス型住宅は平均で約3万7,000円低かった。ただし、2026年1月時点では約5万円の差があり、今回の調査ではその差が縮まっている。
同社は、6月の診療報酬改定と同時期に多くのホスピス型住宅が主要費目を改定したことを、価格差が縮小した一因と考察している。これは同社の分析であり、個々のホームの値上げ理由を直接確認した結果ではない。
なお、「ホスピス型住宅」は同社が事業者の標ぼうや広告内容、退去に関する指標などから独自に分類したものとなっている。
■ 入居費用は月額総額と内訳を確認する
今回のデータは、介護サービス情報公表システム、サービス付き高齢者向け住宅の情報提供システム、入手できた重要事項説明書などを基にしている。比較した調査期間は、それぞれ2024年と2026年の2~7月で、料金は調査時点の情報となる。
集計は月払い方式を対象としており、前払い方式の料金は反映されない。また、調査で示された平均月額費には、介護保険サービスの自己負担額や個別に選択するサービスの料金は含まれていない。
そのため、入居者や家族が実際の支出を確認する際には、表示された月額費だけでなく、介護サービスの自己負担や追加サービスなどを含めて見ることが大切だ。料金改定の案内が届いた場合も、どの費目が、いつから、いくら変わるのかを分けて確認すると、家計への影響を把握しやすい。
10月の食品値上げと今回のホーム料金調査は、対象も期間も異なる。食品の値上げが、そのまますべてのホームの料金改定につながるとはいえない。それでも、食費を中心に住まいの費用が変化している実態は、入居を検討する人だけでなく、現在の暮らしを続ける入居者や家族にとっても身近な問題となっている。
