心筋梗塞
ひとことでいうと
心筋梗塞
心筋梗塞は、冠動脈が血栓などで塞がれ、心筋への血流が途絶える病気です。短時間で心筋の障害が広がるため、早期治療が予後を左右します。 心筋梗塞を正しく理解することは、早期発見と安全な支援につながります。
動脈硬化した血管のプラークが破れて血栓ができることが主な原因で、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などがリスクを高めます。
典型的には持続する強い胸痛、圧迫感、冷汗、吐き気、息苦しさが現れますが、高齢者や糖尿病の方では痛みが弱く、倦怠感や食欲低下だけの場合もあります。発症が疑われるときは介護職だけで判断せず救急要請を検討します。
介護職は診断や治療を独自に決めるのではなく、日常生活の変化を継続して観察し、本人・家族・医療職と共有します。急な悪化や普段と異なる症状があるときは、予定の受診を待たず相談することが重要です。
高齢者では、複数の病気や薬の影響が重なり、心筋梗塞の典型的な症状がはっきり現れないことがあります。食事量、睡眠、排泄、移動、会話、表情など、日常生活の小さな変化を継続して見ることで早期発見につながります。本人が症状をうまく説明できない場合は、家族が気づいた変化や以前との違いも重要な情報です。
支援では安全を優先しながらも、本人が行える動作まで奪わないようにします。体調に応じて休憩、動線、福祉用具、介助量を調整し、できることを生かしながら負担を減らす視点が必要です。医療職からの指示は介護記録や申し送りで共有し、症状の経過や生活への影響を次の受診やケアプランの見直しに生かします。
高齢者で見逃しやすい症状
高齢者では「胸が痛い」と訴えず、急に元気がない、顔色が悪い、冷汗がある、呼吸が速い、吐き気がするなどの変化で現れることがあります。いつもと違う急な全身状態の変化を見逃さないことが重要です。症状が落ち着いても心筋梗塞を否定できないため、本人を歩かせたり入浴させたりせず安静を保ちます。過去の狭心症や心筋梗塞、服薬、発症時刻を救急隊へ伝えられるよう整理します。自己判断で飲食や薬を追加しないことも安全上大切です。
本人への声かけでは不安をあおらず、今困っていることを一つずつ確認します。介助方法や生活環境を変更した後は、症状だけでなく疲労や活動量も見直します。変化を時系列で記録し、多職種で同じ情報を共有することで、過不足のない支援や受診判断につながります。
現場で知っておきたいポイント
現場では数値や病名だけでなく、本人の普段の状態との違いを確認します。
- 胸部不快感、冷汗、吐き気、息苦しさを確認する
- 高齢者では倦怠感や意識変化も疑う
- 症状が急なら歩かせず安静を保つ
- 発症時刻、既往歴、内服薬を整理する
- 疑わしい場合はためらわず救急要請を検討する
観察結果は「いつから・どの場面で・どの程度」を具体的に伝えます。介護職だけで医学的判断を完結させず、必要に応じて看護師や主治医、リハビリ職へつなぐことが安全な支援につながります。
申し送りでは「異常あり」だけでなく、測定値、本人の訴え、発生した場面、持続時間、対応後の変化を伝えます。家族にも観察点と連絡の目安を分かりやすく共有し、支援者ごとに対応が変わらないようにすることが大切です。
参考情報・参考文献
国立循環器病研究センター「虚血性心疾患」
心筋梗塞の仕組み、症状、狭心症との違いを確認。
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/ischemic-heart-disease/
参照日:2026年9月29日
日本循環器学会「ガイドラインシリーズ」
急性冠症候群に関する診療指針を確認。
https://www.j-circ.or.jp/guideline/guideline-series/
参照日:2026年9月29日
