2027年度の介護報酬は上がる?基本報酬の引き上げ要請と地域区分の見直しを解説

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2027年度介護報酬改定の基本報酬引き上げ要請と地域区分の見直しを解説するイラスト
もくじ

はじめに

「2027年度の介護報酬は上がるの?」

介護事業所を運営している方や、介護現場で働く方にとって、気になるテーマではないでしょうか。

2027年度の介護報酬改定に向けた議論が進むなか、介護関係団体からは、物価や人件費の上昇、厳しい事業所経営などを背景に、基本報酬の引き上げを求める声が相次いでいます。

一方で、介護報酬の金額にも関係する「地域区分」の見直しも議論されており、試算では区分が上がる地域がある一方、引き下げとなる地域も示されています。

つまり、2027年度改定を考えるうえでは、単純に「介護報酬が上がるのか」だけを見るのではなく、基本報酬と地域区分の両方に注目する必要があります。

この記事では、基本報酬の引き上げ要請と地域区分の見直しについて整理し、2027年度改定によって介護事業所や介護職、利用者にどのような影響が考えられるのかをわかりやすく解説します。

2027年度の介護報酬改定とは?

2027年度(令和9年度)の介護報酬改定について理解するために、まずは「介護報酬」がどのような仕組みなのかを簡単に確認しておきましょう。

介護報酬とは?

介護報酬とは、訪問介護や訪問看護、デイサービス、特別養護老人ホームなどの介護サービスを提供した事業所に、その対価として支払われる報酬です。

介護報酬には、サービスごとに設定される「基本報酬」があり、一定の要件を満たすことで算定できる「加算」などがあります。

さらに、地域による人件費の差を調整するために「地域区分」が設けられており、地域やサービスによって1単位あたりの単価が異なります。 

今回の記事では、このうち「基本報酬」「地域区分」が大きなポイントになります。

2027年度改定に向けた議論が進んでいる

介護報酬については2026年度にも改定が行われ、処遇改善や食費の基準費用額などへの対応が実施されました。現在はさらに、2027年度(令和9年度)の介護報酬改定に向けた議論が社会保障審議会・介護給付費分科会で進められています。 

2027年度改定では、介護分野の賃上げ経営の安定人材確保などを踏まえ、物価や賃金の上昇を介護報酬へどのように反映するかも検討課題とされています。 

ただし、ここで注意したいのは、「2027年度に基本報酬が引き上げられることが決まったわけではない」という点です。

現時点では改定に向けた議論が続いている段階です。そのなかで、複数の介護関係団体から基本報酬の引き上げを求める声が上がっています。次に、その背景を詳しく見ていきましょう。

複数の介護関係団体が「基本報酬の引き上げ」を要請

2027年度の介護報酬改定に向けて、介護関係団体からは基本報酬の引き上げを求める声が上がっています。

厚生労働省の介護給付費分科会では、2026年9月から関係団体との意見交換が行われており、2027年度改定に向けた具体的な要望が示されています。 

なぜ基本報酬の引き上げが求められている?

背景にあるのが、物価や人件費の上昇、人材確保の難しさ、介護事業所の厳しい経営状況です。

介護サービスでは、利用者の安全やサービスの質を維持するために一定の職員配置が必要です。その一方で、賃金や光熱費、食材料費などさまざまなコストが上昇すれば、事業所の負担は大きくなります。

実際、2027年度改定に向けた介護給付費分科会では、施設系サービスの収支差率の低迷などを踏まえ、基本報酬の引き上げや加算の見直しを求める意見が出ています。 

介護人材の確保も大きな課題です。2026年8月の分科会でも、「介護人材の確保に向けた処遇改善等」が独立したテーマとして議論されています。 

こうした状況から、安定して介護サービスを提供し続けるための土台として、基本報酬そのものを引き上げる必要があるという声が出ています。

「加算」ではなく「基本報酬」が上がる意味

ここで押さえておきたいのが、基本報酬と加算の違いです。

基本報酬は、介護サービスを提供すること自体に設定されている報酬です。一方、加算は、人員配置やサービス提供体制など、それぞれ定められた要件を満たした場合に上乗せして算定します。

そのため、加算による支援だけではなく基本報酬そのものが引き上げられれば、介護サービスを提供するための基礎的な収入部分を底上げする方向の改定になります。

ただし、基本報酬が実際にどの程度引き上げられるのか、あるいは引き上げられるのかどうかも、現時点では決定していません。

そして、介護事業所が実際に受け取る報酬を考えるうえでは、基本報酬だけでなくもう一つ注目したい仕組みがあります。

それが、次に解説する「地域区分」です。

介護報酬の基本報酬・加算・地域区分の仕組みをわかりやすく示したイラスト

2027年度改定で地域区分はどう変わる?

2027年度の介護報酬改定では、「地域区分」の見直しも重要な論点の一つとなっています。

厚生労働省は2026年8月5日の介護給付費分科会で「地域区分」を個別の議題として取り上げており、2027年度改定に向けて検討を進めています。 

地域によっては最大6ポイント上昇する試算

今回の議論で注目されているのが、地域区分を新しい基準に機械的に当てはめた場合、現在より区分が大きく上昇する地域が出てくることです。

Kaigo Skillsのニュースでも紹介した試算では、茨城県つくば市が現在より6ポイント上昇するなど、地域によって大きな変化が生じる可能性が示されています。 

地域区分が上がれば、原則として介護報酬の1単位あたりの単価も高くなる方向に働くため、対象地域の介護事業所にとっては経営面でプラスとなる可能性があります。

ただし、ここで注意したいのは、「最大6ポイント上昇することが決まった」という話ではないことです。

あくまで一定の基準を機械的に反映した場合の試算であり、2027年度から実際にどの地域が何%になるのかは、今後の議論を経て決まります。

一方で地域区分が引き下げられる地域も

地域区分の見直しは、すべての地域にとって引き上げになるわけではありません。

同じ試算では、兵庫県神戸市などで4ポイント低下するケースも示されています。 

地域区分が引き下げられれば、同じ介護サービスを提供していても、1単位あたりの単価が低くなる方向に働きます。

そのため、すでに人件費や物価の上昇に直面している介護事業所からすれば、地域区分の引き下げによって経営がさらに厳しくなるのではないかという懸念があります。

現行制度でも、地域区分の大幅な変化を緩和するための経過措置や、隣接地域とのバランスを考慮した特例が設けられてきました。 

2027年度改定でも、単純に新しい区分へ置き換えるのか、何らかの経過措置や特例を設けるのかが注目されます。

そして重要なのが、ここまで見てきた「基本報酬」と「地域区分」を別々に考えないことです。

仮に基本報酬が引き上げられたとしても、地域区分が引き下げられれば、事業所への影響は単純ではありません。次に、この2つの関係を整理してみましょう。

基本報酬が上がれば介護事業所の収入も増える?

「基本報酬が引き上げられれば、介護事業所の収入もその分増えるのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、実際の介護報酬は基本報酬だけで決まるものではありません。2027年度改定の影響を見るときには、基本報酬と地域区分をはじめ、複数の要素を合わせて考える必要があります。

「基本報酬」と「地域区分」を一緒に見る必要がある

介護報酬は、サービスごとに定められた単位数をもとに計算されますが、実際に事業所へ支払われる金額には地域区分による1単位あたりの単価も関係します。

そのため、たとえば2027年度改定で基本報酬が引き上げられたとしても、同時に地域区分が引き下げられた地域では、基本報酬の引き上げ効果の一部が地域区分の変更によって小さくなる可能性があります。

反対に、基本報酬と地域区分の両方が引き上げられれば、報酬額を押し上げる方向に働きます。

つまり、

基本報酬 ↑

地域区分 ↑
→ 報酬額を押し上げる方向

一方で、

基本報酬 ↑

地域区分 ↓
→ 実際の影響は組み合わせによって変わる

ということです。

この関係は、2027年度改定を理解するうえで重要なポイントです。

「介護報酬○%アップ」だけでは判断できない

さらに注意したいのが、ニュースなどで「介護報酬○%引き上げ」と報じられた場合でも、すべての介護事業所の収入が同じ割合で増えるとは限らないことです。

介護報酬は、提供するサービスの種類や基本報酬、取得している加算、利用者数、地域区分などによって事業所ごとに異なります。

また、介護報酬全体の改定率と、個別サービスの基本報酬の改定率も同じとは限りません。

そのため、2027年度改定の内容が今後具体化した際には、全体の改定率だけを見るのではなく、

  • 自分たちのサービスの基本報酬はどう変わるのか
  • 地域区分はどうなるのか
  • 算定している加算に変更はあるのか

まで確認することが大切です。

2027年度の介護報酬が「上がるか、下がるか」は、一つの数字だけでは判断できないということです。

基本報酬・加算・地域区分から介護報酬が決まる仕組みを示したイラスト

2027年度介護報酬改定で事業所・介護職・利用者への影響は?

では、2027年度の介護報酬改定は、介護事業所やそこで働く職員、サービスを利用する方にどのような影響を与えるのでしょうか。

現時点では改定内容が確定していないため、具体的な影響を断定することはできません。ただ、今回議論されている内容は、介護に関わる多くの人に関係する可能性があります。

介護事業所への影響

介護事業所にとって大きなポイントとなるのが、経営の安定と人材確保です。

厚生労働省も2027年度改定について、介護分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保を図る必要があるとの認識を示し、物価や賃金の上昇を介護報酬へ適切に反映するための対応を検討しています。 

基本報酬が引き上げられれば、事業所の収入を押し上げる方向に働き、人件費の確保や採用、サービス提供体制の維持などにつながる可能性があります。

一方、前述した地域区分を含め、実際の影響はサービス種類や地域、加算の算定状況などによって異なります。

介護職への影響

介護職にとって注目したいのが、賃金や働く環境がどう変わるのかという点です。

2027年度改定に向けた介護給付費分科会では、2026年8月28日に「介護人材の確保に向けた処遇改善等」が個別テーマとして議論されています。 

ただし、介護報酬が引き上げられたからといって、その金額がそのまま職員一人ひとりの給与に上乗せされるわけではありません。

今後は、基本報酬だけでなく、処遇改善の仕組みや人材確保策、職場環境改善などがどのような内容になるのかも確認する必要があります。

利用者の自己負担への影響

介護報酬は事業所の収入だけでなく、サービスを利用する方にも関係します。

介護保険サービスでは、利用者は原則として介護サービス費用の一部を自己負担しているため、個別サービスの報酬額が変われば、利用者の自己負担額にも影響する可能性があります。

ただし、実際にどの程度変わるのかは、2027年度改定の具体的な内容や利用するサービス、負担割合などによって異なります。

つまり今回の改定は、事業所の経営だけの問題ではなく、そこで働く介護職、そしてサービスを利用する方にも関係するテーマとして、今後の動きを見ていく必要があります。

2027年度介護報酬改定は今後どうなる?

2027年度の介護報酬改定に向けた議論は、現在も続いています。

厚生労働省の介護給付費分科会では、2027年度改定について、介護分野の賃上げや経営の安定、離職防止、人材確保などを踏まえながら検討を進める方針が示されています。2026年8月には「介護人材の確保に向けた処遇改善等」も個別テーマとして議論されました。

今後は、この記事で取り上げた基本報酬の見直しや地域区分に加えて、処遇改善や人材確保策などが最終的にどのような形で介護報酬へ反映されるのかが注目されます。

現時点で示されている要望や試算は、あくまで議論の途中段階です。基本報酬の引き上げ幅や地域区分の変更内容などについては、今後公表される情報を確認していく必要があります。

Kaigo Skillsでも、2027年度介護報酬改定に関する最新情報をニュースで随時お伝えしていきます。

介護報酬の地域区分を最大6ポイント上昇の試算|引き下げ地域には経営懸念
介護報酬、複数団体が基本報酬の引き上げ要請|2027年度改定へ

まとめ|2027年度介護報酬改定は「基本報酬」と「地域区分」の両方に注目

2027年度の介護報酬改定に向けて、現在もさまざまな議論が進められています。厚生労働省の介護給付費分科会でも、地域区分や処遇改善、関係団体との意見交換などが順次行われています。

今回の記事のポイントを整理すると、

  • 介護関係団体から基本報酬の引き上げを求める声が上がっている
  • 介護報酬の地域区分についても見直しが検討されている
  • いずれも現時点では2027年度の最終的な改定内容として決定したものではない
  • 実際の影響を考えるには、基本報酬と地域区分の両方を見る必要がある

ということになります。

2027年度介護報酬改定を見るときは、「介護報酬が上がるのか」だけではなく、基本報酬と地域区分がそれぞれどう見直され、最終的に事業所や介護職、利用者へどのような影響を与えるのかを確認していくことが大切です。

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この記事を書いた人

介護に関わる全ての人へ。
心あるケアは、技術にできる。
理学療法士が現場で培った“考え方と介護技術”を伝える実践ブログです。

合同会社やしのき 代表
理学療法士/訪問看護ステーション・福祉用具貸与事業所を運営。
現場での経験をもとに、
・介護技術を YouTube(登録者15万人) で発信。
・介護分野の書籍出版にも携わる。

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