深部静脈血栓症
ひとことでいうと
深部静脈血栓症
深部静脈血栓症は、下肢などの深い静脈内に血の塊ができ、血流が妨げられる病気です。血栓の一部がはがれて肺動脈を塞ぐと、生命に関わる肺血栓塞栓症を起こします。 深部静脈血栓症を正しく理解することは、早期発見と安全な支援につながります。
長期臥床、手術後、脱水、がん、肥満、下肢の固定などにより血流が滞ることが関係します。
片脚の腫れ、痛み、熱感、皮膚色の変化がみられますが、症状が乏しい場合もあります。予防では早期離床、適切な水分、足関節運動、弾性ストッキングなどを状態に応じて行います。
介護職は診断や治療を独自に決めるのではなく、日常生活の変化を継続して観察し、本人・家族・医療職と共有します。急な悪化や普段と異なる症状があるときは、予定の受診を待たず相談することが重要です。
高齢者では、複数の病気や薬の影響が重なり、深部静脈血栓症の典型的な症状がはっきり現れないことがあります。食事量、睡眠、排泄、移動、会話、表情など、日常生活の小さな変化を継続して見ることで早期発見につながります。本人が症状をうまく説明できない場合は、家族が気づいた変化や以前との違いも重要な情報です。
支援では安全を優先しながらも、本人が行える動作まで奪わないようにします。体調に応じて休憩、動線、福祉用具、介助量を調整し、できることを生かしながら負担を減らす視点が必要です。医療職からの指示は介護記録や申し送りで共有し、症状の経過や生活への影響を次の受診やケアプランの見直しに生かします。
長期臥床時の予防と観察
介護現場では左右の脚を比べ、片側だけの急な腫れや痛みに注意します。疑わしい脚を強く揉むことは避け、本人を歩かせる前に医療職へ相談します。弾性ストッキングはサイズや装着方法が合わないと皮膚障害や圧迫につながるため、しわや食い込み、皮膚色を確認します。突然の息苦しさ、胸痛、血の混じった痰、失神などは肺血栓塞栓症の可能性があります。呼吸症状を伴う場合は緊急対応が必要です。
本人への声かけでは不安をあおらず、今困っていることを一つずつ確認します。介助方法や生活環境を変更した後は、症状だけでなく疲労や活動量も見直します。変化を時系列で記録し、多職種で同じ情報を共有することで、過不足のない支援や受診判断につながります。
現場で知っておきたいポイント
現場では数値や病名だけでなく、本人の普段の状態との違いを確認します。
- 左右の下肢の周径、腫れ、熱感、痛みを比較する
- 長期臥床時は医療職の指示で離床や足関節運動を行う
- 脱水を防ぎ、長時間同じ姿勢を避ける
- 疑わしい脚を強くマッサージしない
- 突然の胸痛・呼吸困難・失神では救急要請する
観察結果は「いつから・どの場面で・どの程度」を具体的に伝えます。介護職だけで医学的判断を完結させず、必要に応じて看護師や主治医、リハビリ職へつなぐことが安全な支援につながります。
申し送りでは「異常あり」だけでなく、測定値、本人の訴え、発生した場面、持続時間、対応後の変化を伝えます。家族にも観察点と連絡の目安を分かりやすく共有し、支援者ごとに対応が変わらないようにすることが大切です。
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参考情報・参考文献
日本循環器学会「2025年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症等ガイドライン」
DVTの定義、分類、肺血栓塞栓症との関係を確認。
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Tamura.pdf
参照日:2026年9月29日
日本循環器学会「ガイドラインシリーズ」
血栓症の予防・診断・治療の指針を確認。
https://www.j-circ.or.jp/guideline/guideline-series/
参照日:2026年9月29日
