介護保険の申請方法は?必要なもの・申請先・認定までの流れをわかりやすく解説

当ページのリンクには広告が含まれています。
介護保険の申請方法と必要なもの・申請先・認定までの流れをわかりやすく解説するイラスト
もくじ

はじめに|介護保険を使いたいと思ったら、まず何をすればいい?

「親に介護が必要になってきたけれど、どこに申請すればいい?」
「介護保険の申請には、何を持っていけばいいの?」
「本人が役所へ行けない場合、家族でも申請できる?」

家族の介護を考え始めたとき、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

介護保険サービスを利用するには、原則として市区町村へ「要介護・要支援認定」を申請し、認定を受ける必要があります。

ただ、初めて介護保険を利用する方にとっては、「どこへ相談するのか」「何を準備するのか」「申請したあと何が行われるのか」など、分からないことも多いと思います。

この記事では、介護保険の申請先や申請できる人、必要なもの、申請から認定までの流れを順番にわかりやすく解説します。

「介護保険を使いたいけれど、まず何をすればいいの?」という方は、ぜひ参考にしてください。

介護保険を利用するには申請が必要

介護保険の対象となる人でも、条件を満たせば自動的に介護サービスを利用できるわけではありません。

介護保険サービスを利用するためには、原則として市区町村へ申請し、介護や支援が必要な状態であることについて認定を受ける必要があります。

65歳になったら自動的にサービスを使えるわけではない

65歳以上の人は介護保険の第1号被保険者となります。

ただし、65歳になったからといって、自動的に訪問介護やデイサービスなどを利用できるわけではありません。

介護や支援が必要になった場合に申請を行い、要介護・要支援の認定を受けることで、認定結果に応じた介護保険サービスを利用できるようになります。

介護保険の対象者や仕組みについては、前回の記事で詳しく解説しています。
介護保険とは?仕組み・対象者・利用できるサービスをわかりやすく解説

申請するのは「要介護・要支援認定」

介護サービスを利用するときに行うのは、介護保険そのものへの加入申請ではなく、「要介護・要支援認定」の申請です。

要介護・要支援認定では、「介護や支援が必要な状態なのか」「必要であれば、どの程度の介護が必要なのか」が判定されます。

ここで大切なのは、病気の重さだけで要介護度が決まるわけではないということです。

要介護認定は、病名や病気の重症度そのものではなく、どの程度の介護サービスが必要なのかを判断する仕組みです。そのため、病気の重さと要介護度の高さが必ずしも一致するとは限りません。

この認定を受けるための具体的な申請方法を、ここから順番に見ていきましょう。

介護保険はどこで申請する?

介護保険を利用したいと思っても、「どこへ行けばいいのかわからない」という方もいるでしょう。

要介護・要支援認定の申請は、基本的に本人が住んでいる市区町村の介護保険担当窓口で行います。

また、申請するべきか迷っている段階であれば、地域包括支援センターへ相談することもできます。厚生労働省も、介護サービスについての相談先として、市区町村の窓口や地域包括支援センターを案内しています。

基本は住んでいる市区町村の介護保険窓口

要介護・要支援認定は、本人が住民票を置いている市区町村へ申請するのが基本です。

窓口の名称は自治体によって異なりますが、「介護保険課」「高齢者福祉課」など、介護保険を担当する窓口で手続きを行います。たとえば大阪市では、各区役所に介護保険の窓口が設けられています。

窓口がわからない場合は、自治体のホームページで確認するか、市区町村の代表窓口へ「介護保険の申請について相談したい」と問い合わせるとよいでしょう。

わからなければ地域包括支援センターへ相談

「介護保険を使える状態なのかわからない」
「そもそも申請した方がいいの?」

そんな段階であれば、地域包括支援センターに相談するのもひとつの方法です。

地域包括支援センターは、市町村が設置する高齢者の総合相談窓口で、介護保険だけでなく、介護予防や生活上の困りごとなどについても相談できます。

大切なのは、介護保険を使うと決めてから相談する必要はないということです。

「最近、親の生活で困ることが増えてきた」と感じた段階で、まず相談してみましょう。

介護保険の申請や相談について市区町村の窓口で相談する高齢者と家族のイラスト

介護保険の申請は本人以外でもできる?

「親に介護が必要になってきたけれど、本人が役所へ行くのは難しい」

このような場合でも、本人が必ず自分だけで申請手続きをしなければならないわけではありません。

家族が申請したり、状況によっては地域包括支援センターなどに申請手続きを依頼したりすることもできます。

本人だけでなく家族などからの申請も可能

要介護・要支援認定は、本人だけでなく家族が申請することも可能です。

たとえば、本人が外出することが難しい場合や、認知症などによって一人で手続きを進めることが難しい場合には、家族が申請手続きを行うことができます。

大阪市の申請書でも、家族が申請する場合には「申請者氏名」などを記入するよう案内されています。

そのため、「本人が役所へ行けないから介護保険を申請できない」と考える必要はありません。

申請を代行してもらえる場合もある

家族だけで手続きを進めるのが難しい場合には、申請を代行してもらえる場合もあります。

大阪市では、居宅介護支援事業者、地域包括支援センター、介護保険施設に依頼して、要介護・要支援認定の申請を代行してもらうことができます。

「誰に相談すればいいのかわからない」
「書類の準備に不安がある」

という場合は、まず市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターへ相談してみるとよいでしょう。

なお、申請方法や取り扱いは自治体によって異なる場合があるため、実際に申請する際は本人が住んでいる市区町村の案内を確認してください。

介護保険の申請に必要なもの

要介護・要支援認定を申請するときには、申請書や介護保険被保険者証など、いくつかの書類が必要になります。

ただし、必要なものは自治体や申請方法、本人・家族など誰が申請するのかによって異なる場合があります。「せっかく窓口へ行ったのに書類が足りなかった」ということがないよう、事前に本人が住んでいる市区町村のホームページなどで確認しておきましょう。

ここでは、申請時に必要となる主なものを紹介します。

要介護・要支援認定申請書

まず必要になるのが、要介護・要支援認定申請書です。

申請書は市区町村の介護保険担当窓口などで受け取れるほか、自治体によってはホームページからダウンロードできます。

大阪市でも申請書と記入例を公開しています。
参考にしてみてください。→ 大阪市公式ウェブサイト

申請書には本人の氏名や住所などのほか、主治医の氏名や医療機関、医療保険に関する情報などを記入する欄があります。分かる範囲で事前に確認しておくと、手続きを進めやすくなります。

介護保険被保険者証

65歳以上の人には、要介護・要支援認定を受けているかどうかにかかわらず、「介護保険被保険者証」が交付されています。

そのため、初めて要介護・要支援認定を申請する場合でも、介護保険被保険者証の提出を求められることがあります。

「まだ介護保険を利用したことがないから、被保険者証は持っていない」と思っている方も、一度手元の書類を確認してみましょう。

なお、紛失している場合の対応は自治体によって確認が必要です。

たとえば大阪市では、被保険者証を紛失して提出できない場合、「介護保険被保険者証紛失届出書」を提出する取り扱いとなっています。→ 大阪市公式ウェブサイト

本人確認・マイナンバーに関する書類

申請時には、本人確認書類やマイナンバーを確認するための書類が必要になる場合があります。

大阪市では、要介護・要支援認定申請書にマイナンバーを記載し、マイナンバー確認書類と本人確認書類を提示する取り扱いとなっています。窓口申請と郵送申請でも提出方法が異なるため、細かな必要書類は申請先の自治体で確認してください。

40〜64歳では医療保険に関する情報も確認

40〜64歳の第2号被保険者が申請する場合は、医療保険への加入状況についても確認されます。また、介護保険を利用できるのは、定められた特定疾病が原因で要介護・要支援状態となった場合です。

大阪市では、40〜64歳の申請者について、「資格情報のお知らせ」または「資格確認書」を持っている場合、そのいずれかの提示・写しの提出を案内しています。

40〜64歳の方は65歳以上とは利用条件が異なるため、申請前に対象となるか確認しておきましょう。

介護保険を申請してから認定されるまでの流れ

要介護・要支援認定を申請すると、認定調査や主治医意見書などをもとに、どの程度の介護や支援が必要なのかについて審査・判定が行われます。

大まかな流れは次のとおりです。

申請
↓
認定調査・主治医意見書
↓
一次判定
↓
介護認定審査会による二次判定
↓
認定結果

認定調査と主治医意見書は、必ずしも上から順番に進む工程ではなく、それぞれの情報をもとに判定が行われます。厚生労働省も、認定調査と主治医意見書を一次・二次判定に用いる仕組みとして示しています。

① 要介護・要支援認定を申請する

まず、市区町村へ要介護・要支援認定を申請します。

申請が受理されると、本人の心身の状態や生活状況を確認する認定調査と、医学的な観点から状態を確認する主治医意見書の準備が進められます。

② 認定調査を受ける

認定調査では、認定調査員が本人のもとを訪問し、心身の状態や日常生活の様子などを確認します。

調査結果は基本調査だけでなく、具体的な状況を記載する特記事項としても判定に利用されます。

ここで大切なのは、「調査の日にできたこと」だけではなく、普段の状態を伝えることです。

ご高齢者のなかには、調査員を前にすると普段以上に頑張ってしまったり、家族に迷惑をかけたくないという思いから「自分でできます」と答えたりする方もいます。

たとえば、

「今日は一人で立てたけれど、普段は家族の介助が必要」
「入浴はできると言っているけれど、実際には見守りが必要」

など、日頃の生活でどのような介助や見守りが必要なのかを具体的に伝えることが大切です。

本人から伝えにくいことがあれば、家族から普段の様子や困っていることを伝えられるよう、事前に整理しておくとよいでしょう。

③ 主治医意見書が作成される

主治医意見書は、申請する本人や家族が作成するものではありません。

市区町村が申請書に記載された主治医へ意見書の作成を依頼し、主治医が本人の病気や心身の状態などについて医学的な観点から記載します。

主治医意見書は、その後の審査・判定に使用される重要な資料のひとつです。

④ 審査・判定が行われる

認定調査の結果や主治医意見書などをもとに、まずコンピュータによる一次判定が行われます。

その後、保健・医療・福祉の学識経験者で構成される介護認定審査会が、一次判定の結果、主治医意見書、認定調査の特記事項などをもとに審査し、二次判定を行います。

つまり、認定調査だけで要介護度が決まるわけではありません。

⑤ 認定結果が通知される

審査・判定が終わると、市区町村から認定結果が通知されます。

結果は、介護の必要性などに応じて要支援1・2、要介護1〜5などに区分されます。また、要介護・要支援に該当しない「非該当」となる場合もあります。

認定結果が出たあとは、その結果に応じてケアプランの作成など、介護サービスを利用するための準備へ進みます。

介護保険の申請から認定調査、主治医意見書、審査・判定、認定結果までの流れを示した図

申請から認定結果が出るまでどのくらいかかる?

要介護・要支援認定を申請してから結果が出るまで、どのくらいかかるのか気になる方も多いでしょう。

介護保険法では、要介護認定の申請に対する処分は、原則として申請のあった日から30日以内に行うこととされています。つまり、ひとつの目安としては約1か月と考えておくとよいでしょう。

ただし、必ず30日以内に結果が出るとは限りません。

認定調査の日程調整や主治医意見書の作成、介護認定審査会での審査などに時間がかかり、30日を超えることもあります。特別な理由によって30日以内に処分できない場合、市町村は処理に必要な見込み期間とその理由を本人へ通知したうえで、延期できる仕組みになっています。

そのため、「本格的に介護が必要になってから申請すればいい」と考えていると、必要なタイミングですぐにサービスを利用できない可能性があります。

歩くことや入浴、買い物など、日常生活で困ることが増えてきたら、申請が必要かどうかも含めて、早めに市区町村の窓口や地域包括支援センターへ相談しておきましょう。

認定結果が出たらどうする?

要介護・要支援認定の結果が届いたら、それで手続きが終わるわけではありません。

認定結果に応じて相談先や利用できるサービスが異なるため、次はケアプランの作成など、サービスを利用するための準備へ進みます。要介護・要支援・非該当のそれぞれで、次の流れを確認しておきましょう。

要介護の場合

要介護1〜5と認定され、自宅で介護サービスを利用する場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャー(介護支援専門員)に相談します。

本人や家族の希望、心身の状態、生活環境などを確認しながらケアプランを作成し、訪問介護やデイサービス、福祉用具貸与など、必要なサービスの利用につなげていきます。

要支援の場合

要支援1・2と認定された場合は、地域包括支援センターなどに相談し、介護予防サービスや介護予防・日常生活支援総合事業などの利用を検討します。

「できないことを介助する」だけではなく、現在の生活機能をできるだけ維持し、自立した生活を続けられるよう支援していくことが重要です。

非該当だった場合

認定結果が「非該当」だったからといって、何の支援も受けられないとは限りません。

たとえば、基本チェックリストなどによって対象となれば、市区町村が実施する介護予防・生活支援サービスにつながる場合があります。

利用できる支援は地域や本人の状態によって異なるため、困りごとが続いている場合は、地域包括支援センターや市区町村へ相談してみましょう。

介護保険の申請でよくある疑問

最後に、介護保険の申請でよくある疑問をまとめます。自治体によって必要書類や手続き方法が異なる場合があるため、迷ったときは本人が住んでいる市区町村の介護保険窓口へ確認しましょう。

Q1|本人が入院中でも申請できる?

入院中でも要介護・要支援認定を申請することはできます。

認定調査は自宅だけで行われるものではなく、入院先で実施される場合もあります。大阪市でも、入院中の場合は申請書に医療機関や認定調査先などを記載するよう案内しています。退院や転院の予定がある場合は、申請時に伝えておくとよいでしょう。

Q2|家族だけで申請できる?

本人が窓口へ行けなくても、家族が申請することは可能です。

また、一定の居宅介護支援事業者や介護保険施設などが申請を代行できる仕組みもあります。本人だけで手続きするのが難しいからと、申請を諦める必要はありません。

Q3|介護保険被保険者証をなくしていても申請できる?

紛失した場合の手続きは、申請先の市区町村へ確認しましょう。

たとえば大阪市では、介護保険被保険者証を紛失して提出できない場合、「介護保険被保険者証紛失届出書」を提出する取り扱いとなっています。紛失したから申請できないと判断せず、まず窓口へ相談してください。

Q4|主治医がいない場合はどうする?

要介護認定では、審査・判定に主治医意見書が必要です。

厚生労働省の要介護認定の運用では、主治医がいない場合、市町村の職員である医師または市町村が指定する医師から意見を求める仕組みが示されています。実際の案内や手続きは自治体によって確認が必要なため、主治医がいないことを申請前に市区町村へ相談しておくと安心です。

まとめ|介護保険の申請に迷ったら、まず相談しよう

介護保険サービスを利用するためには、原則として市区町村へ要介護・要支援認定を申請し、認定を受ける必要があります。

申請からサービス利用までの流れを整理すると、次のようになります。

相談
→ 必要なものを準備
→ 申請
→ 認定調査・主治医意見書
→ 審査・判定
→ 認定結果
→ ケアプラン・サービス利用

初めての申請では、

「どこに申請するの?」
「何を準備すればいい?」
「家族でも申請できる?」

など、わからないことがあって当然です。

そんなときは、本人が住んでいる市区町村の介護保険窓口や、地域包括支援センターへ相談してみましょう。

介護保険は、本格的に介護が必要になってから初めて考えるものではありません。

歩く、入浴する、買い物へ行くなど、これまでできていた生活に少しずつ困ることが増えてきたら、それも相談を考えるひとつのタイミングです。

「介護保険を申請するべき状態なのかわからない」という段階でも、相談して大丈夫です。

あわせて読みたい記事

介護保険とは?仕組み・対象者・利用できるサービスをわかりやすく解説

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

介護に関わる全ての人へ。
心あるケアは、技術にできる。
理学療法士が現場で培った“考え方と介護技術”を伝える実践ブログです。

合同会社やしのき 代表
理学療法士/訪問看護ステーション・福祉用具貸与事業所を運営。
現場での経験をもとに、
・介護技術を YouTube(登録者15万人) で発信。
・介護分野の書籍出版にも携わる。

👉 詳しいプロフィールは【プロフィール】を見てください。

コメント

コメントする

もくじ