順天堂大学とメタジェンセラピューティクスは2026年10月29日、活動期の潰瘍性大腸炎を対象とする抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法(A-FMT療法)の新たな特定臨床研究を発表した。研究は9月8日に始まっており、治療の実用化を見据えて有効性と安全性を検証する段階である。
■抗菌薬の期間短縮を検証
A-FMT療法は、抗菌薬による前処置の後、ドナーの便から調製した腸内細菌叢溶液を投与する方法である。今回の研究には全国10施設が参加する。プラセボを対照とする二重盲検ランダム化比較試験で、抗菌薬の投与期間を従来の2週間から5日間に短縮した場合の有用性などを調べる。腸内細菌叢の変化を追い、効果が生じる仕組みも探る。
■過去の成績と新研究を分けて読む
発表で示された寛解導入率45.9%は、2023~2025年に行われた先進医療Bの研究成績であり、今回始まった試験の結果ではない。寛解とは症状や炎症が改善した状態を指し、治癒とは区別される。前処置の期間や実施施設を変えても同様の成績が得られるかは、今後の検証を待つ必要がある。
■医療・介護職が押さえたい点
下痢や血便を伴う疾患では、治療への期待と日常生活上の困りごとの両方が支援上の論点となる。今回の発表を説明する際も、新たな研究の開始と、誰でも受けられる治療の提供開始を混同しないことが重要だ。
研究への参加条件や実施状況は、研究機関・主治医への確認が必要だ。今回の発表は、現在の治療を自己判断で変える根拠ではなく、診療と生活支援をつなぐ情報として扱いたい。
