順天堂大学は10月30日、2型糖尿病と身体活動量の組み合わせを調べた高齢者の研究を発表した。糖尿病があり身体活動量が低い群で、認知機能の検査基準に該当する割合が最も高かった。一時点の関連を示す結果であり、運動による認知症予防効果を確立した研究ではない。
■ 地域で暮らす1,615人を4群に分類
対象は、東京都文京区の「文京ヘルススタディ」に参加した65~84歳の1,615人である。研究者は糖尿病の有無と、質問票で調べた身体活動量を組み合わせて4群に分類した。原著で活動量が高いとされる区分は「中等度以上」であり、高強度の運動だけを指すものではない。
■ 検査基準への該当割合は38.1%
認知機能はMoCA-Jという検査で評価し、22点以下を認知機能障害ありと定義した。該当割合は、糖尿病なし・活動量高の群で15.6%、糖尿病あり・活動量低の群で38.1%だった。この数字を、医師に認知症と診断された人の割合と読み替えることはできない。
年齢や性別、教育歴などを調整した後も、後者の認知機能障害のオッズは前者の2.51倍だった。ただし、将来の発症リスクが2.51倍という意味ではない。MRIで測った海馬の体積も、糖尿病あり・活動量低の群では、糖尿病のない2群より小さかった。
■ 原因と結果の順序は分からない
横断研究のため、活動量の低さが認知機能に影響したのか、認知機能の低下が活動量を減らしたのかは区別できない。また、糖尿病と身体活動量の交互作用は統計的に有意ではなく、両者の相乗効果が証明されたわけではない。
■ 生活状況と研究の限界を併せて読む
介護・医療の読者には、糖尿病のある高齢者の状態を血糖の情報だけでなく、日常の活動や認知機能も含めて捉える研究として参考になる。一方、今回の結果から個人の運動量を決めたり、活動量を増やせば認知症を防げると説明したりすることはできない。研究グループは追跡調査や介入研究による検証を今後の課題としている。
論文は2026年8月31日に公表され、大学の発表日は10月30日である。順天堂大学の発表と原著論文の公開抄録で確認できる。
