厚生労働省は11月2日の第5回社会福祉施設職員等退職手当共済制度の在り方に関する検討会に、制度見直しの方向性を示した。退職手当の支給対象となる加入年数の引上げを検討する一方、給与が下がっても働き続けやすい算定方法や、一時離職後に復帰しやすい仕組みも議論の対象としている。
いずれも検討段階であり、支給要件の変更が決まったわけではない。介護現場で働く職員にとっては、自身の勤務先が加入している制度かどうかを踏まえて読む必要がある。
■対象は社会福祉法人が加入する退職手当共済
この共済制度は、社会福祉法人が経営する社会福祉施設などの職員を対象とする。厚労省の制度概要によると、共済契約を結べるのは社会福祉法人で、加入は法人の任意である。介護事業所で働くすべての職員に共通する退職金制度ではない。
2025年4月1日時点の加入職員は約88万人で、このうち介護分野は約23万人である。加入する法人や職員にとって、長く働いた場合の給付や、離職後に福祉分野へ戻る際の扱いに関わる検討である。
■支給対象となる加入年数の引上げを検討
資料1の4ページは、現行では加入1年以上の被共済職員を支給対象としていることを示したうえで、人材定着などの観点から、対象となる加入年数の引上げを検討する方向性を示している。給付水準の見直しも検討対象である。
引上げ後の具体的な年数は示されていない。同資料にある「5年未満」を不支給とする意見や「3年~5年以上」とする意見は、第4回検討会での構成員の意見を再掲したものであり、厚労省の確定案ではない。
既に加入している職員については、改正施行日の前日に退職したと仮定した場合の支給額を下回らないよう保障する経過措置も提案している。これも決定事項ではなく、旧制度による将来の給付額全体を保障するという内容でもない。
■給与減額時の算定と、離職後の復帰期限も見直しの論点
現行の算定は、退職前6か月の本俸平均額を基礎とする。資料1の5ページでは、役職を降りるなどして給与が下がる場合、減額前の期間については減額前の給与を算定に用いるなど、長く働きやすくする改正を検討する方向性を示した。
また、一時離職後に制度加入法人へ復帰する場合の加入期間合算について、現行の「退職後3年以内」という復帰期限の延長を検討するとしている。延長後の年数は示されていない。離職前後の加入期間をつなぐ仕組みを利用しやすくする狙いである。
■施行時期は未定、今後さらに取りまとめへ
今回示されたのは、制度を持続させながら人材の定着を図るための検討の方向性である。職員にとって有利な変更だけが示されたものではなく、支給対象や給付水準の見直しも含まれる。
今後の検討会スケジュールでは、さらに議論を行って取りまとめ、福祉部会へ報告する予定としている。具体的な支給要件や施行時期は未定であり、今回の資料だけで自身の退職手当額がどう変わるかを判断することはできない。
