京都大学医学部附属病院は2026年10月30日、iPS細胞由来のパーキンソン病治療製品「アムシェプリ」の移植手術を同月に開始したと発表した。住友ファーマの同日公表資料によると、製造販売後臨床試験(フェーズ4試験)での1例目である。承認後の治療が進む一方、有効性と安全性を引き続き確かめる段階にある。
■ 10月に移植、退院後も経過を観察
病院の発表では、移植を受けた患者1名は術後の経過が良好で、すでに退院している。今後も慎重に経過を観察する方針である。今回の発表は手術の実施とその後の経過を伝えるもので、長期的な治療効果が確認されたという報告ではない。
■ 運動症状の改善を目指す細胞製品
アムシェプリは、本人以外の人の細胞から作製したiPS細胞を、ドパミン神経の前駆細胞へと分化させた製品である。定位脳手術により脳内の被殻へ移植する。効能は、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者の運動症状の改善であり、病気そのものが治ると示されたわけではない。
■ 条件・期限付承認のもとで検証を続ける
製造販売承認は2026年3月6日付で、条件と7年の期限が付いている。使用した全症例を対象とする製造販売後調査等で評価することなどが求められる。住友ファーマはフェーズ4試験の参加者への移植を優先し、試験完了後に施設や患者の範囲を広げる方針を示している。承認取得と、広く治療を受けられる体制の整備は分けて捉える必要がある。
■ 対象条件を踏まえた情報共有が重要
電子添文では、運動症状があり、レボドパ含有製剤への忍容性と治療反応性を持つ患者に使用するとされる。また、臨床成績が限られることを含め、患者や家族への文書による説明と同意が必要である。介護・福祉の現場でも、新たな選択肢の進展を知るとともに、すべての患者が直ちに対象になるものではないという条件まで共有することが大切である。
■ 出典
京都大学医学部附属病院:移植治療の情報更新(2026年10月30日)
