高齢者の救急搬送に新たな受け皿を|日本救急医学会が基本法の骨子案

2026.10.18
病院の入口に停車する救急車の実写風イメージに、「日本救急医学会」「高齢者救急に 新たな受け皿案」「救急医療基本法(仮称)」と記した画像。実在の整備予定施設を示すものではない。

日本救急医学会が、要介護・要支援状態の高齢者を専門的に受け入れる医療機関の整備を盛り込んだ「救急医療基本法(仮称)」の骨子案をまとめた。高齢者の状態に応じた医療の提供と、救急医療現場の逼迫への対応を目指す構想である。

搬送先の調整における国や都道府県などの役割も、法律で明確にする考えだ。現時点では学会の提案段階であり、制度の創設や医療機関の整備が決定したわけではない。

■ 要介護・要支援の高齢者に対応する医療機関を構想

骨子案は、重症度に応じて初期・二次・三次に分かれる救急医療体制を見直し、要介護・要支援状態の高齢患者に対応する「新救急医療機関」を整備する内容だ。

病気やけがを繰り返しやすく、包括的な対応が必要な高齢者の受け皿を設けることで、一般の救急患者を受け入れる余地の確保につなげる狙いがある。

救急搬送では、患者の症状と受け入れ側の専門分野が合わず、対応が難しくなる場合がある。骨子案は、搬送先の調整を現場の努力だけに委ねず、行政の役割を法的に位置付けることも目指している。

■ 背景にある、救急医療と日常のケアをつなぐ課題

高齢者の救急対応では、病気の治療に加え、普段の生活状況や本人の希望を踏まえた医療・ケアの連携が課題となる。

日本救急医学会などがまとめ、2025年に公表した「高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言2024」では、本人が望む医療や暮らし方について、家族や医療・福祉の関係者が日頃から話し合い、共有する重要性を示している。

同提言は、年齢だけで医療の提供を区切ったり、必要な医療・ケアを制限したりするものではないことも明記している。今回の骨子案とは別の資料だが、高齢者救急を考える上での基本的な視点となる。

■ 介護施設では急変時の連絡体制や情報共有が重要

従来の提言では、高齢者施設に対して、配置医師や看護・介護職員などが急変時の対応を協議し、連絡先や対応手順を共有することを勧めている。対応マニュアルの整備や、定期的な訓練も挙げている。

また、本人がどのような医療やケアを望むかを繰り返し話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」を支援することも重視する。

これらは今回の骨子案によって新たに課される義務ではなく、既存の提言で示されている取り組みである。

■ 学術集会で発表へ、具体的な制度設計は今後

骨子案は、10月に長崎市で開かれる学術集会で発表される予定だ。第54回日本救急医学会総会・学術集会の会期は、2026年10月27日から29日までとなっている。

新たな医療機関が担う診療機能や配置基準、財源、整備時期などは、今回確認できた情報だけでは明らかでない。介護施設からの搬送先や救急要請の手順が、直ちに変更されるものではない。

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