緊急事態宣言後、若年層の精神科外来受診が増加|全国データを分析

2026.10.21
明るい待合スペースの椅子と観葉植物を写した実写風イメージに、「精神科外来受診」「若年層で増加傾向」「緊急事態宣言後・全国データ分析」と記した画像。実際の医療機関を撮影したものではない。

新型コロナウイルス感染症に伴う最初の緊急事態宣言後、若年層の精神科外来受診の増加傾向が強まり、特に20〜24歳で変化が大きかった。早稲田大学などの研究グループが全国の医療保険データを分析し、10月20日に発表した。

研究成果は10月17日、学術誌「Journal of Epidemiology」に掲載された。精神科医療の利用状況を約11年間にわたり調べ、年齢や地域による違いを検討した研究である。

■ 宣言前からの傾向と、その後の変化を比較

分析対象は、2013年4月から2024年4月までの精神科外来・入院の利用状況。厚生労働省の「匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)」に由来する全国規模の公開集計データを用いた。

研究では、出来事の前後で長期的な傾向がどう変わったかを調べる「分割時系列解析」を採用。2020年4〜5月の最初の緊急事態宣言を境に、それ以前と以後の受診の推移を比較した。

■ 20〜24歳で変化が最大、入院は多くの層で減少

精神科外来受診は、15〜19歳、20〜24歳、25〜29歳、30〜39歳、60〜69歳で、宣言前より増加傾向が強まった。最も大きな変化がみられたのは20〜24歳だった。

地域別では、緊急事態宣言が繰り返し実施された期間が長い地域で、外来受診の増加が全体として大きい傾向があった。

一方、精神科入院は多くの年齢層・地域で減少した。外来と入院では異なる動きがあり、「精神科医療の利用が一律に増えた」と捉えることはできない。

■ 受診の変化を、宣言だけの影響とは断定できない

今回調べたのは医療サービスの利用状況であり、精神疾患を新たに発症した人数そのものではない。

また、宣言と同時期には、休校、雇用・経済状況の変化、医療提供体制の変化なども生じている。研究グループは、観察された変化を緊急事態宣言の影響だけで説明することはできないとしている。

宣言期間が長い地域には大都市圏が多く、医療提供体制などの違いが結果に影響した可能性もある。

■ 年齢・地域ごとの相談支援と医療アクセスが課題

研究結果は、感染症流行や大規模災害などの際、全国平均だけでなく、年齢や地域ごとに精神科医療の利用状況を継続して把握する必要性を示している。

研究グループは、影響を受けやすい集団を早期に把握し、地域の相談支援や外来医療へのアクセスを確保することが、将来の公衆衛生上の危機への備えにつながると指摘している。

研究方法や結果の詳細は、早稲田大学の公式研究発表で確認できる。

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