■ 訪問看護のオンライン診療補助とICT連携に評価案
厚生労働省は2026年10月19日の第271回社会保障審議会介護給付費分科会で、訪問看護のオンライン診療補助と、ICTを使った地域の医療機関等との情報連携に、介護報酬上の評価を設ける案を示した。訪問看護の改定の方向性を議論する資料に盛り込まれたもので、制度の新設が決定したわけではない。
■ 医師は遠隔、利用者のそばで看護師が支える
オンライン診療補助の対象として挙がったのは「D to P with N」である。医師が離れた場所からオンラインで診療し、利用者のいる自宅などに看護師等が同席して診療を補助する形を指す。利用者だけで画面越しに医師と話す診療とは異なり、看護師等が現場で支える点が特徴だ。
厚労省は、看護師等が医療機関に所属するか、訪問看護ステーションに所属するか、定期的な訪問時に行うかなどによって提供形態が異なると整理した。医療保険との関係にも留意した評価の在り方が論点となっている。
■ 現行の取扱いと新設案は分けて確認
介護保険では、オンライン診療の補助について、次期介護報酬改定までの請求上の取扱いが既に示されている。資料では、訪問看護指示書の有効期間内で、計画上予定された訪問がない場合の補助と、計画的な訪問看護中に補助する場合を分けて説明している。今回の案を「これまで請求できなかった補助が初めて対象になる」と受け止めるのは正確ではない。
新たな評価の単位数や詳細な算定要件、開始日は今回の対応案には示されていない。管理者は現行の請求ルールと今後の改定案を混同せず、訪問の目的や計画上の位置づけを確認することが重要だ。
■ ICTによる医療情報連携も評価の対象に
もう一つの案は、訪問看護ステーションが地域の医療機関等とICTで情報連携した場合の評価である。背景には、関係機関と平時から情報を共有する体制の普及がある。
医療保険では2026年度診療報酬改定で「訪問看護医療情報連携加算」が新設され、月1回1,000円とされている。これは他の医療機関等が記録した情報を活用し、計画的な管理を行う場合の評価であり、今回検討する介護報酬の金額ではない。医療保険の要件がそのまま介護保険に導入されると決まったわけでもない。
■ 看護の支援と情報共有をどう評価するか
看護師にとっては、診療時の補助や日頃の情報共有が、どの範囲まで評価されるかが焦点となる。管理者が検討の備えとして現状を整理するなら、連携先、共有している情報、診療補助に伴う業務などが確認材料になる。ただし、今回の案が新たな記録義務や機器導入義務を課したものではない。
利用者や家族には、身近な看護師の支援を受けながら診療につながり、療養情報を関係者で共有しやすくなることが期待される。一方、利用できる条件や費用負担への影響は具体的な制度設計を待つ必要があり、現段階で一律の利用拡大や負担額を案内することはできない。
出典:厚生労働省「第271回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3 訪問看護(改定の方向性)」(2026年10月19日)、35〜41頁
