厚生労働省は10月9日、2026年第40週(9月28日~10月4日)のインフルエンザ発生状況を公表した。全国の定点医療機関から報告された患者数は4万2,320人で、前週の2万6,678人から約1.6倍に増加した。高齢者の生活を支える介護施設や在宅サービスでも、地域の感染状況を踏まえた備えが必要になる。
■ 全国の感染者総数ではなく「定点からの報告数」
今回の4万2,320人は、指定された定点医療機関から報告された患者数であり、全国で感染した人すべてを数えた数字ではない。
流行状況を把握する指標となる1定点当たりの報告数は、前週の7.17人から11.35人へ上昇した。直近では第38週に8.48人、第39週に7.17人と一度低下していたが、第40週は再び増加している。
公表日は10月9日だが、対象となるのは10月4日までの1週間。10月10日当日の感染状況を示すものではない。
■ 沖縄が最多、首都圏でも高い報告数
都道府県別の1定点当たり報告数は、沖縄県の37.07人が最も多かった。次いで埼玉県19.66人、千葉県18.72人、神奈川県18.51人、東京都15.87人と、首都圏でも高い値となっている。
一方、沖縄県は前週の42.50人から低下しており、全国の増加と各地域の動きが一致するわけではない。大阪府は4.02人から6.18人、兵庫県は3.55人から7.54人へ増加した。
全国平均だけで判断せず、事業所の所在地や利用者の生活圏に近い自治体の情報を確認することが、現場の対応を考えるうえで役立つ。
■ 高齢者では肺炎などの重症化に注意
インフルエンザは、発熱や頭痛、筋肉痛、全身のだるさなどが比較的急速に現れる感染症だ。高齢者や免疫力が低下している人では、肺炎などを伴い重症化することがある。
厚労省は、発熱などの症状がある場合に無理をして職場へ行かないこと、咳エチケットを徹底することを呼びかけている。高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなど、具合が悪い場合は早めの受診が必要となる。
介護現場では、利用者の体調変化を職員間で共有し、主治医や協力医療機関へ相談する手順を確認しておきたい。職員自身も、体調不良を早めに報告できることが重要だ。
■ 手指衛生・換気・予防接種を組み合わせる
基本となるのは、流水と石けんによる手洗い、適切な手指消毒、咳エチケット、室内の換気だ。厚労省は、インフルエンザウイルスに対してアルコール製剤による手指衛生も有効としている。
気温が下がる時期は窓を閉める機会が増えるが、換気設備の稼働や吸気口の確認など、室温にも配慮しながら換気を続けることが大切になる。
ワクチンには発症や重症化を予防する効果が期待される。ただし、接種だけで感染を完全に防げるわけではない。本人の意向や健康状態を踏まえて医師に相談し、基本的な感染対策と組み合わせて考える必要がある。
■ 利用者を守り、サービスを続けるための準備
施設では共同生活や食事、入浴など、在宅サービスでは訪問や送迎など、利用者と職員が接する場面が多い。感染対策は利用者の健康を守るとともに、職員の欠勤が重なった場合のサービス継続にも関わる。
今回の報告数の増加をきっかけに、体調不良時の連絡先、受診相談の手順、職員が休む場合の応援体制、手指衛生用品の在庫を確認しておきたい。備品や手順が整っていても、現場で使える状態になっているかを確かめることが、流行期の対応につながる。
