国内初、遠隔手術支援を患者の治療に応用|弘前大が5例実施

2026.10.08
病院の操作室と手術支援機器をイメージした写真風画像に、「遠隔手術支援 国内初の臨床応用」と記したサムネイル

弘前大学は、手術支援ロボットを使った遠隔手術支援を、国内で初めて実際の患者の治療に応用したと10月8日に発表した。最初の手術は8月に行われ、発表時点までに5例を実施した。日本外科学会と進めてきた実証研究を、患者を対象とする臨床研究へ進めた取り組みだ。

■ 青森県内の2病院を通信回線で接続

臨床研究では、弘前大学医学部附属病院と、五所川原市のつがる総合病院をNTT東日本の商用光回線で結ぶ。国産の手術支援ロボット「hinotori」を用いる手術が適応となる消化器がんの患者について、離れた場所にいる医師が通信回線を介して手術を支援する。

ここでいう「遠隔手術」は、患者のいる病院に医療者がおらず、ロボットだけが手術するという意味ではない。離れた場所から専門医が手術を支える仕組みの安全性を、実際の治療の中で確かめている。

■ 実証実験から臨床研究へ

遠隔地からの手術支援には、ロボットの操作だけでなく、映像や操作情報を遅れなく安定して送れるか、通信障害などが起きた際にどう対応するかが重要になる。日本外科学会はこれまで、通信の遅延や安定性、緊急時の対応などを検証してきた。今回の臨床研究は、それらの成果を踏まえた「遠隔手術ガイドライン第2版」に沿って行われている。

研究は弘前大学の審査委員会の承認を受けた特定臨床研究で、臨床研究等提出・公開システムにも登録されている。登録された実施予定人数は10人。主な評価項目は、遠隔手術支援を継続して完遂できるかという点だ。手術時間や出血量、合併症、通信遅延なども評価項目に含まれる。

■ 5例の実施と、今後の検証は分けて考える

大学と学会は、これまでの5例を安全に実施したとしている。ただし、5例の実施によって遠隔手術支援の安全性や有効性が最終的に証明されたわけではない。症例を重ね、手術中と手術後の経過、通信の安定性などを引き続き評価する段階にある。

専門医が都市部などに偏り、地域で外科医を確保しにくいことが、この研究の背景にある。遠隔地の専門医が地域の医師を支援できれば、患者が地元で専門性の高い治療を受ける選択肢につながる可能性がある。今回の成果が、どのような病院間で安全に運用できるかを見極める一歩となる。

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