東北大学東北メディカル・メガバンク機構は2026年10月29日、参加した国際研究の成果を公表した。認知症の発症リスクと関連するゲノム上の127領域を見つけ、うち48領域は新たに見いだされた。論文は10月28日付のNatureに掲載された。
■ 約280万人は「患者数」ではない
研究は、遺伝的な個人差と病気の関連を幅広く調べるGWASを統合したものだ。30のコホート・バイオバンクの約280万人には、認知症患者約11万人のほか、対照群や家族歴に基づく代理症例などが含まれる。
代理症例は、本人ではなく親が認知症と回答した人を解析に用いる方法である。東北メディカル・メガバンク計画は約6万人の情報を用いて解析し、その結果を国際メタ解析に提供した。「280万人の認知症患者を追跡した研究」と読むのは誤りだ。
■ 治療の仕組みを探る基礎になる
関連領域の解析から、脳の免疫細胞であるミクログリアや一部の神経細胞が関わる可能性が示された。病気の仕組みを理解し、薬の標的候補を探る手がかりとなる。
ただし、遺伝子との関連が見つかることと、有効な治療薬が完成することは別である。今回の発表は新薬の承認や患者への治療提供開始を知らせるものではない。
■ 集団の偏りと個人への当てはめに注意
5つの集団を含むものの、解析対象の約9割はヨーロッパ系である。機構は、他の集団での遺伝的リスク予測には限界があると説明している。
介護・医療の現場では、家族の不安に接する際にも、研究で得た集団の関連と個人の診断を分けて伝えることが重要だ。遺伝的な関連だけで、その人が必ず発症すると判断することはできない。
