日本看護協会は10月27日、看護職員の賃上げに関する緊急調査の結果を公表した。介護保険施設・事業所に勤める正規雇用・フルタイムの看護職員では、2026年8月の平均基本給が25万1,707円だった。病院や訪問看護とは分けて、介護の現場で働く看護職の処遇を捉えた調査である。
■ 基本給と給与総額を分けて読む
同じ集計で、手当などを含む平均税込給与総額は35万4,100円だった。基本給とは異なり、手取り額でもない。基本給だけの金額を「月収」として比較すると、実際の支給状況を誤って理解するおそれがある。
平均額の算出対象は、介護保険施設・事業所の看護職員947人である。正規雇用・フルタイムで、2025年と2026年の両年の給与項目に有効回答がある人に限り、休暇・休職中の人や、比較期間に転職した人などを除いている。介護職員全般の平均給与を示す数字ではない。
平均基本給は病院勤務で27万4,754円、訪問看護事業所で25万8,237円だった。協会は、看護職の中でも訪問看護や介護保険施設・事業所では平均賃金額・伸び率が低いと指摘している。勤務先による差がみられる一方、平均年齢や勤務条件も異なるため、同じ条件の仕事を単純比較した数字ではない。
■ 給与が増えた回答は介護の看護職で60.8%
調査は9月1日から14日までWebアンケートで行われ、看護職員3万8,736人が回答した。このうち介護保険施設・事業所勤務は2,388人で、ここでは訪問看護を別区分としている。給与平均の947人とは集計対象が異なる。
介護保険施設・事業所の回答者のうち、2026年8月支給分の給与が前年同月より増えたとした人は60.8%だった。ただし、残りの全員が「据え置き」だったわけではない。減少したとの回答のほか、無回答・非該当も含まれるためである。詳しい調査方法と集計条件は日本看護協会の公表資料で確認できる。
■ 処遇改善は金額だけでなく働き方と併せて
給与の増加には、基本給の引き上げだけでなく、勤務時間や手当の変化も関係する。職場で処遇を説明したり、就職先を比較したりする際には、基本給、手当、勤務条件を分けて確認することが大切になる。総額の増加だけで、同じ負担のまま待遇が改善したとは判断できない。
今回の結果は回答者の状況を示したもので、全国の看護職員全員を調べた結果ではない。また、給与差の理由や離職との因果関係を確定するものでもない。介護の現場で看護職を確保し、働き続けられる環境を考えるための一つの資料として受け止めたい。
