細胞診AIを子宮頸部から尿へ拡張|浜松医大、判別の課題も報告

2026.10.29
顕微鏡と細胞画像のモニターを配し、尿の細胞診を支えるAI研究と臨床での検証課題を示すイメージイラスト

浜松医科大学は10月29日、子宮頸部の細胞診向けに開発したAIを、尿の細胞診にも対応させた「CYTOLONE-v2(サイトロン・ブイツー)」を発表した。一つのAIで異なる検体の評価を支援できるかを調べた研究である。尿路上皮がんの特徴を持つ画像を捉える性能を示した一方、がんではない細胞変化との区別には課題が残った。

■ 顕微鏡で見る細胞をAIが分類

細胞診は、採取した細胞の形や集まり方を観察し、がんなどの病変を評価する検査である。細胞検査士や病理医が担い、尿では炎症や刺激による変化が、がんの細胞と似て見える場合がある。

今回のAIは、標本全体を専用スキャナでデジタル化する方式ではなく、顕微鏡で観察する視野の画像を解析する仕組みを引き継いだ。子宮頸部向けの既存AIに尿の細胞診画像を追加学習させ、正常・異常、良性・悪性、病変の種類といった情報を段階的に関連づけて分類する。

■ 感度99%、特異度46%は代表画像での評価

大学の詳細資料によると、尿路上皮がん20例から選んだ100画像のうち、99画像を尿路上皮がんと分類した。感度は99%であった。一方、がんではない反応性変化20例の100画像では、46画像を反応性変化、54画像を尿路上皮がんと分類し、特異度は46%であった。

この数値は、選択された代表画像を単位とする評価であり、患者の99%を正しく診断したという意味ではない。がんの特徴を拾う力だけでなく、がんではない変化を区別する力も合わせて見る必要がある。両者を分けずに「高精度」とまとめると、研究の到達点を見誤る。

尿画像の追加学習後も、子宮頸部の正常・異常分類の正解率は94.8%で、学習前の94.7%と同程度だった。ただし、より詳しい病変の分類では性能が低下した。対応する検体を増やしながら既存の性能を保つ点にも課題がある。

■ 専門家の判断支援へ、実際の検査で検証が必要

医療職にとっての注目点は、一つのAIで複数の細胞診を支援する可能性と、実用化までに確かめるべき点が示されたことである。今回の結果は、AIだけで診断を完結できることを示すものではない。

研究グループは、判断の難しい画像の判別性能を改善し、さまざまな医療機関の検体や顕微鏡カメラの画像で検証する方針だ。専門家の判断をどう補助できるか、観察時間や作業負担の軽減につながるかも今後の評価対象であり、実際の検査現場での有用性はまだ確立していない。

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