国立健康危機管理研究機構(JIHS)国立国際医療センターのAMR臨床リファレンスセンターは、11月の「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」に向けた2026年度の啓発キャンペーンを発表した。今年のテーマは「かぜに抗菌薬は効きません」。10月28日には特設サイトを公開し、全国の医療機関や薬局での啓発につなげる。
■抗菌薬が必要な場面を正しく理解する
抗菌薬は、細菌が原因となる感染症の治療に使われる薬であり、ウイルスには効かない。薬剤耐性とは、細菌などの微生物に薬が効かなくなったり、効きにくくなったりすることである。不必要な使用や不適切な使用は、その問題につながる。
センターの特設サイトは、かぜへの抗菌薬の効果や、自己判断での服用を避けて処方を守ることを説明している。今回の啓発は、抗菌薬そのものを否定するものではない。必要な治療に使える薬を将来に残すため、何に効く薬なのかを理解することが中心となる。
■全国の参加医療機関・薬局で資材を配布
10月26日付の発表によると、日本医師会・日本薬剤師会と連携し、キャンペーン参加医療機関や薬局でポスターの掲示、リーフレットなどの限定無料配布を行う。TVアニメ「はたらく細胞」と連携した啓発ツールを用意し、特設サイトでは動画やゲームなどから学べる構成としている。
配布は全国すべての医療機関・薬局で一律に行われるものではない。参加施設での取り組みであり、啓発ツールの種類や入手については、センターの案内を確認する必要がある。
■患者・家族との説明を支える機会に
医療職にとっては、抗菌薬が処方される場合とされない場合の違いを、患者や家族と共有するための材料となる。服薬を支える介護職にとっても、薬を本人の判断で増減したり、残った薬を別の機会に使ったりしないという理解を共有する意味がある。
ただし、啓発情報だけで個々の症状を診断したり、処方の必要性を判断したりすることはできない。患者や家族が抗菌薬の役割を理解することと、実際の治療を医療者と確認することは、分けて考える必要がある。処方された薬の使い方に疑問があるときは医師・薬剤師に確認する。その共通認識を持つ機会として、月間の情報を活用できる。
