厚生労働省は2026年10月23日、2023年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況を公表した。「医療,福祉」の就職後3年以内離職率は、高卒が49.4%、大卒が39.1%であった。採用後の定着を考える材料となる一方、介護職だけを集計した数値ではない。
■ 高卒は上昇、大卒は低下
医療・福祉の高卒者は前の卒業年(2022年3月卒)の3年以内離職率と比べて0.2ポイント上昇し、大卒者は1.7ポイント低下した。同じ産業でも学歴区分によって動きが異なり、一律に離職が増えたとはいえない。
全産業では高卒が36.9%、大卒が31.2%で、いずれも2022年3月卒と比べて低下した。医療・福祉の値は、それぞれの全産業の値を上回る。厚労省の公表資料では、学歴別のほか、事業所規模別や産業別の状況も示されている。
■ 「3年以内」と「医療・福祉」の範囲に注意
この離職率は1年間の率ではなく、新卒就職者を一定期間追った集計である。「医療,福祉」は産業分類であり、医療・福祉のさまざまな事業所が対象となる。介護職員全体の離職率や、個々の施設の離職率とそのまま比較することはできない。
集計方法によると、雇用保険の加入届などから新規学卒者と推定される就職者を算出し、2026年3月31日までの離職を集計している。離職理由や離職後に働いているかどうかは問わないため、転職した人も含まれる。業界から離れた人の割合を示すものでもない。
■ 採用数だけでなく、入職後の状況をみる材料に
医療・福祉の採用担当者が活用する際は、自事業所の新卒者についても、入職年や観察期間をそろえて定着状況を確認する視点が重要である。ただし、この統計だけでは、賃金、勤務時間、指導体制などのうち何が離職に影響したかは判断できない。
数値を職場の良し悪しの断定に使うのではなく、入職後の面談や退職時に把握した事情と合わせて検討する資料として捉えたい。厚労省は、新卒応援ハローワークなどで職場定着支援や離職者への就職支援を続けるとしている。
