大腸がん術後のctDNA検査、継続測定で臨床試験の候補者を特定

2026.10.31
大腸がん術後のctDNA検査について、採血管と経過観察の記録を描いたイラスト

国立がん研究センターは2026年10月30日、大腸がん患者5,355人のデータから、術後にctDNA検査を繰り返す意義を検討した研究成果を発表した。画像検査で再発が確認される前に再発リスクの高い患者群を捉え、早期先制治療の臨床試験への参加候補者を特定するための研究であり、治療効果や新たな治療の一般提供を示す発表ではない。

■ 血液中のがん由来DNAを継続して調べる

ctDNAとは、がん細胞から血液中に出たDNAのことである。血液を通じてがんの情報を調べるリキッドバイオプシーの一つとして、術後に残る微小ながんの兆候を捉える手がかりになる。今回の解析対象は、日本を中心とする研究プロジェクト「CIRCULATE-Japan」の観察研究「GALAXY」に登録された患者である。

術後の検査は一度の結果だけではなく、その後の変化にも意味がある。今回、術後早期にはctDNAが陰性または不明だった患者でも、治療中や経過観察中に陽性になる例が認められた。

■ 51.8%は治療成功率ではなく、試験の参加条件

解析では、術後早期にctDNAが陽性だった患者の51.8%が、第III相臨床試験「ALTAIR」の参加条件を満たした。また、ctDNA陽性患者の65.2%では、陽性判明後も3か月以上、再発を認めなかった。血液検査で兆候を捉えてから、治療介入を研究するための時間がある患者群を見つけられる可能性が示された。

これらの割合は、検査でがんが治った人の割合や治療の成功率ではない。研究は、どの患者が臨床試験の対象となり得るかを検討したものである。論文はAnnals of Oncologyに10月7日付で掲載されており、今回の発表日とは異なる。

■ 早く見つけることと、治療効果の証明は別

ALTAIRは、画像上の再発がない段階で治療を始める有効性を検証した試験である。同センターが6月に公表した試験結果では、主要評価項目で統計学的に明確な治療効果は確認されなかった。今回の患者選定に関する解析を、その結果を覆す治療効果の証明と読むことはできない。

患者や家族への説明では、再発リスクを調べる検査の研究と、治療が有効かを確かめる研究を分けて理解することが重要である。今回の意義は、継続測定から得られる情報を、今後の治療開発につなぐ方法を検討した点にある。

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