厚生労働省は2026年10月22日、北海道の西胆振構想区域を、地域医療構想の実現に向けた「重点支援区域」に選定した。医療機能再編等の対象として、市立室蘭総合病院、製鉄記念室蘭病院、日鋼記念病院の3病院を挙げている。
重点支援区域は、複数の医療機関の役割分担や再編を進める地域に対し、国が助言や集中的な支援を行う仕組みである。今回の動きは、病院の名称や建物だけでなく、地域でどの医療機関がどの診療機能を担うかを考える取り組みに当たる。
■ データ分析と財政支援で地域の協議を支える
国の技術的支援には、地域の医療提供体制や対象医療機関に関するデータ分析、関係者の意見を調整する場の開催などが含まれる。財政面では、地域医療介護総合確保基金の優先配分や、病床機能の再編への手厚い支援が示されている。
都道府県は、地域医療構想調整会議で申請することへの合意を得た上で国に申請する。ただし、厚労省は、申請や選定自体が再編の方向性を決めるものではなく、結論は同会議の自主的な議論によると明記している。国が一方的に病院の統合を決める制度ではない。
■ 室蘭では既に機能統合の合意がある
一方、西胆振の再編が今回初めて話し合われるわけではない。製鉄記念室蘭病院の10月22日発表によると、3病院は2026年2月に診療機能と役割分担について最終合意した。市立室蘭総合病院の高度急性期・急性期機能を製鉄記念室蘭病院に統合する方向で、準備が進んでいる。
同病院は、2028年3月末の市立室蘭総合病院の閉院後、その施設を活用した暫定運営を行い、2031年7月の新病院開院を目指すとしている。これらは病院側が示す今後の計画であり、今回の選定日に実施された変更ではない。
■ 介護との連携では「決定」と「移行」を分けて読む
介護施設や在宅支援の現場にとっては、地域の急性期医療や救急医療をどこが担うかは、入退院時の連携を考える上で関わりのある情報である。ただし、重点支援区域への選定だけを根拠に、現在の受診先や連携窓口が変わったと判断することはできない。地域で合意した方向性、将来の整備計画、実際の診療体制の移行を区別して確認する必要がある。
