訪問介護の基本報酬、引き下げ前を上回る水準へ|在宅5団体が要望

2026.10.16
住宅の玄関前に立つ訪問介護員のイラストに、「訪問介護の基本報酬 引き上げを要望」「在宅5団体」と記したニュース画像。

在宅介護の関係5団体は2026年10月15日、2027年度介護報酬改定に向け、訪問介護の基本報酬引き上げを求める要望書を厚生労働省に提出した。2024年度改定前の水準に戻したうえで、物価や人件費の上昇分を上回る増額を求めている。

あわせて、介護事業所の経営状況を把握する「介護経営実態調査」について、平均の収支差率だけで判断せず、地域や規模、事業形態の違いを踏まえて分析するよう訴えた。

■ 2024年度の引き下げからの回復と増額を要望

今回の要望は、2024年度改定による基本報酬の引き下げを元に戻すだけでなく、その後の物価や人件費の上昇にも対応するよう求めるものである。

訪問介護では、身体介護や生活援助などの内容と所要時間に応じて、基本となる報酬が設定されている。

厚生労働省の2024年度介護報酬改定資料によると、身体介護の「20分以上30分未満」は1回250単位から244単位に、「30分以上1時間未満」は396単位から387単位に引き下げられた。生活援助の「20分以上45分未満」も183単位から179単位となった。

今回、5団体はこうした引き下げ前の水準への回復を起点に、事業の継続に必要な報酬の確保を求めた。

■ 平均の利益率だけで判断しないよう求める

もう一つの論点は、報酬設定の根拠となる経営データの扱いである。

5団体は、平均の利益率が高いことを理由に、訪問介護事業所全体が十分な収益を確保できていると判断すべきではないと主張している。地域、事業所の規模、サービスの提供形態による違いを考慮するよう求めた。

具体的には、特に高い利益率を示す事業所の特徴、その数値が平均に与える影響、費用の計上が適切かどうかなどを詳しく分析する必要があるとしている。

5団体が10月8日に公表した緊急要望の事前発表資料でも、介護経営実態調査の収支差率に依拠しない報酬設定を求める方針が示されていた。

■ 地域ごとの業務負担をどう評価するか

訪問介護の経営を考えるうえでは、利用者宅での支援に加え、移動や記録、関係者との連絡調整などの業務負担も論点となる。

今回の5団体による要望とは別に、地域共生ケア全国ネットワークも、厚生労働省に提出した2027年度改定に向けた意見書で、利用者宅が点在する地域や短時間訪問の多い事業所では、移動などの負担に見合う収入を確保しにくいと指摘している。

この意見書では、移動、記録、連絡調整を含む実際の業務負担を報酬体系に反映し、基本報酬の引き上げを事業所の安定運営と人材の確保・定着につなげるよう求めている。

■ 在宅介護に関わる5団体が共同で提出

要望書を提出したのは、日本在宅介護協会、「民間事業者の質を高める」全国介護事業者協議会、全国介護事業者連盟、全国ホームヘルパー協議会、日本ホームヘルパー協会の5団体である。

今回の提出は、2027年度改定に向けた団体側の要望であり、訪問介護の基本報酬引き上げや具体的な単位数が決まったものではない。今後の改定議論では、経営調査の結果をどう分析し、地域の訪問介護を維持するための報酬に反映するかが焦点となる。

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