上野厚生労働大臣は2026年10月15日、2027年度介護報酬改定に向け、物価高や賃上げ、事業者の経営改善を踏まえた改定幅の確保に取り組む考えを示した。介護・障害福祉の現場を視察した後の記者会見で述べた。
施設の老朽化への支援や、質の高いサービスを支える経営基盤・人材確保の重要性にも言及した。一方、具体的な改定率や、サービス別の基本報酬の単位数は示していない。
■ 物価高への懸念が続く現場を視察
上野大臣は同日、東京都杉並区の認知症グループホームや小規模多機能型居宅介護事業所などを訪問した。埼玉県東松山市では、生活介護や障害者グループホーム、自立訓練、就労移行支援の現場を視察し、関係者と意見を交わした。
会見では、人材確保や処遇改善、経営環境に関する意見が多く寄せられたと説明した。介護事業者からは、現在の物価高への懸念や賃上げの必要性に加え、老朽化した施設への支援を求める声もあったという。
■ 必要な改定幅の確保へ取り組む考え
介護報酬のプラス改定が必要かとの質問に対し、上野大臣は、補正予算や2026年の期中改定を経ても、物価高などへの懸念が残っているとの認識を示した。そのうえで、必要な改定幅を確保できるよう取り組む考えを述べた。
また、賃上げと経営改善を十分に踏まえて報酬改定に臨む必要があると強調した。
今回の発言は、事業者側の要望に対し、厚労相が現場の課題をどう受け止めているかを示すものである。改定率の決定や、すべての介護サービスの基本報酬引き上げを表明したものではない。発言の詳細は、厚生労働省の10月15日付大臣会見概要で確認できる。
■ 施設の整備・改修への支援にも言及
施設の老朽化については、整備・改修への支援も課題に挙げた。上野大臣は、概算要求や事項要求を行っていることに触れ、年末に向けて予算化に取り組む必要があるとの考えを示した。
介護報酬の見直しと施設整備への支援は、会見でそれぞれ言及された対応である。今回の会見では、個々の施設が利用できる補助制度の対象や金額など、新たな具体策までは示されていない。
■ 経営の安定とサービスの質をどう両立するか
上野大臣は、視察先で地域との関わりや外出などに積極的に取り組む様子を確認したと説明し、質の高いサービスを提供するためには経営基盤と人材確保が重要だと述べた。
厚生労働省が9月30日に示した2027年度改定に向けた基本的な視点の案でも、物価・賃金の上昇を介護報酬に適切に反映し、経営の安定と処遇改善を図る方向性が掲げられている。
一方、この案では、介護保険制度の持続可能性や保険料負担への懸念にも触れ、限られた財源の有効活用と報酬評価の適正化・重点化も論点としている。
今後の改定議論では、物価高への対応や人材確保に必要な財源をどう確保し、各サービスの評価へ反映するかが焦点となる。今回の会見は厚労相の姿勢を示した段階であり、具体的な報酬や支援策は今後の議論・予算編成を確認する必要がある。
