妊娠初期のDOAC服用を国際研究で検証 先天異常の明確な増加なし

2026.10.31
妊娠初期のDOAC服用に関する研究をテーマに、薬の記録と相談用ノートを配したイラスト

国立成育医療研究センターは10月28日、妊娠初期に直接経口抗凝固薬(DOAC)を服用した場合の子どもの先天異常などを調べた国際共同研究の結果を公表した。比較群に対する先天異常リスクの明確な上昇は認められなかったが、妊娠中の使用の安全性が確立したという結果ではない。

成果は9月15日付で「Journal of Thrombosis and Haemostasis」にオンライン掲載された。今回の発表は研究結果の紹介であり、妊婦への新たな使用承認を知らせるものではない。

■ 妊娠初期の服用後を追った観察研究

DOACは、心房細動や静脈血栓塞栓症などに用いる抗凝固薬である。妊娠に気づく前の服用をめぐり、医療職が患者へ情報を伝える際の根拠が求められている。

研究は、妊娠中の薬の影響を相談・研究する国際ネットワークENTISの11か国・13機関が協力し、2008〜2024年のデータを統合した。妊娠初期にDOACを服用した343例と、低分子量ヘパリン(LMWH)を投与した698例を比べた前向き観察研究であり、薬を無作為に割り付けた試験ではない。

■ 数値の差だけで安全とは判断できない

原著論文の抄録では、重大な先天異常(major birth defects)の頻度はDOAC群で279例中8例(2.9%)、LMWH群で586例中25例(4.3%)だった。研究全体の登録数と、この評価に用いた分母は異なる。調整後オッズ比は0.74、95%信頼区間は0.33〜1.67で、統計学的に明確な差を示していない。

信頼区間には差がないことを表す1が含まれ、リスク増加側の値も含む。DOACが先天異常を防ぐことや、影響がないことを証明したわけではない。対象数と服用時期に限界があり、妊娠期間を通じた使用へ一般化することもできない。

■ 意図しない服用の相談を支える資料に

研究グループは、妊娠初期に意図せず服用した場合のカウンセリングを支える結果と位置づけ、より大規模な検証を求めている。今回の研究を理由に、薬の開始・継続・中止を一律に判断することはできない。

医療職が結果を説明する際は、明確なリスク上昇が検出されなかったことと、安全性の確立を分けて伝える必要がある。服用中の人が自己判断で中断や変更をせず、処方医や薬剤師に相談するための情報として扱うことが重要である。

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