斜視手術は高齢者にも需要|11万人超のデータで再手術率を調査

2026.11.05
眼科の診察機器と椅子、目の図版を描いたイラスト。斜視手術の実態を全国解析、高齢者にも手術の需要。

京都大学の研究グループは2026年11月4日、国内で斜視手術を受けた11万6,059人を解析し、年齢や病型による再手術の違いを発表した。手術患者は子どもだけでなく、70〜74歳にも多いことが分かった。

斜視は左右の目の視線がずれる状態で、物が二重に見える複視などが生活に影響する。高齢者の見え方の困りごとを考えるうえでも、手術の実態と、その後の経過を知るための資料となる。

■全国の保険診療データで手術後を追跡

研究では、匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)の2011〜2020年の情報を用いた。手術患者の年齢分布は5〜9歳が最も多く、70〜74歳にも二つ目の山があった。斜視の治療需要が小児期に限らないことを示している。

全体の再手術率は、手術後1年で4.0%、3年で7.4%だった。年齢が上がるにつれて再手術率が高くなる傾向があり、高齢者に多い上下回旋斜視では3年で12.1%だった。上下回旋斜視は、視線の上下方向のずれや回転方向のずれが生じるタイプをいう。

■「再手術を受けない」と「治癒」は同じではない

大学の説明資料によると、このデータには視線のずれの角度など、詳しい診療情報が含まれていない。また、最初から複数回に分けて予定した手術と、再発による手術を区別できない。

そのため、再手術率をそのまま再発率や治療の成功率として読むことはできない。今回調べたのは手術を受けた人の経過であり、手術を受けなかった人との比較によって、転倒予防や生活の質の改善効果を示したものでもない。

■高齢者の見え方を支える情報として

物が二重に見える状態は、歩行や階段の利用にも関わる。介護の現場で本人の訴えを共有する際には、「高齢だから仕方がない」と一括りにせず、どのような見え方に困っているのかを把握する視点が大切である。今回の結果は、年齢や病型によって経過が異なることを医療者と確認するための情報となる。

一方、集団の再手術率だけで、個人に手術が必要か、何回で済むかを判断することはできない。研究は、詳しい臨床情報を含めた今後の検証も課題としている。

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