厚生労働省は、2027年度の介護報酬改定に向け、地域ごとの人件費差を報酬単価に反映する「地域区分」の見直しを検討している。公務員の地域手当が再編されたことを受けたもので、機械的に反映すると区分が大きく変わる自治体もある。
介護報酬は原則として1単位10円だが、地域区分に応じて人件費相当分が上乗せされる。サービスの種類によって人件費割合が異なるため、同じ単位数のサービスでも、事業所の所在地によって実際に受け取る報酬額が変わる仕組みとなっている。
今回の議論の背景には、2024年の人事院勧告による国家公務員の地域手当の見直しがある。支給地域は市町村単位から都道府県単位を基本とする形へ広域化され、級地区分も従来の7区分から5区分へ再編された。
この仕組みを介護報酬の地域区分に機械的に反映した場合、現在は5級地で上乗せ割合が10%の茨城県つくば市は、新たな区分では16%となり、6ポイント上昇する試算が示されている。
一方、現在は上乗せ割合が12%の神戸市や埼玉県朝霞市は、8%へ4ポイント低下する想定となる。これまで上乗せがなかった一部地域が4%以上の対象になるなど、全国の自治体に幅広い影響が及ぶ可能性もある。
地域区分が引き上げられれば、同じサービスを提供した場合の収入増加につながる。一方、引き下げられた地域では、基本となる単位数が変わらなくても実際の報酬額が減少し、人件費や物価が上昇するなかで事業所経営への影響が生じる可能性がある。
介護給付費分科会では、地域区分の急激な変化が事業運営や介護人材の確保、利用者負担、介護保険料などに与える影響を考慮し、慎重に検討する必要があるとの意見が出された。
現時点で、新しい地域区分や各自治体の上乗せ割合が決定したわけではない。厚労省は今後、現行制度との連続性や隣接自治体との格差、報酬が下がる地域への緩和措置などを含め、2027年度改定に向けた検討を進める。
