離島・過疎地域で介護サービスを維持するため、加算だけに依存しない報酬上の支援を求める意見が示された。長崎県西海市と市内の介護事業者が9月16日、厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会に提出した。
資料では、人口減少地域で介護人材の確保が難しく、特に訪問介護や居宅介護支援の提供体制を維持することが課題に挙げられた。他産業で賃上げが進むなか、採用条件で介護事業者が不利になっているという。
西海市の人口は2万3911人で、高齢化率は41.2%。市内の離島では、江島が70.1%、平島が73.7%に達している。江島と平島を結ぶ船は1日1便で、介護サービスの提供時間以上に移動や待機による拘束時間が長くなる場合がある。
こうした地域では利用者数が限られ、移動距離も長い。利用者のキャンセルや日ごとの繁閑によって収入が変動しやすいため、出来高払いとは別に、月単位の定額払いを選べる仕組みも要望した。
通常の訪問エリアを超えてサービスを提供する際の移動経費を、事業費として評価する考え方も提示。訪問距離の増加によって、サービスを受けにくい空白地域が広がることを防ぐ狙いがある。
人材の定着をめぐっては、現在の加算が将来も継続するとは限らず、事業者が長期的な昇給計画を立てにくいと指摘した。加算方式だけに依存せず、基本報酬への組み入れや、中山間・人口減少地域を対象とした別枠の支援を検討するよう求めた。
また、人手不足を補うためのICTや介護テクノロジーについても、導入後の保守費、通信費、ライセンス料、機器更新費が継続的に発生する。提出した特別養護老人ホームでは、ICT関係の年間ランニングコストが480万円に上るとして、導入時だけでなく、運用を維持する費用も介護報酬で評価するよう訴えた。
今回示された内容は、2027年度介護報酬改定に向けた自治体・事業者側の要望であり、制度として決定したものではない。人口減少地域で介護サービスを残すため、地域の実情を報酬にどのように反映するかが今後の論点となる。
