介護保険対象者も補装具を利用できる場合を厚労省が既存ルールを再周知

2026.09.12
標準的な既製品の車いすと、ヘッドサポートや姿勢保持部品を備えた個別調整型の車いす。介護保険対象者でも身体状況によって補装具を利用できる場合があることを示している。

厚生労働省は9月10日、障害福祉の補装具費支給制度と介護保険制度の適用関係について、自治体へ通知した。介護保険の対象者であっても、身体状況に応じた個別対応が必要な場合などは、補装具を利用できることを改めて周知している。

今回の通知は、新しい制度を設けたり、従来の取り扱いを変更したりするものではない。厚労省が2007年に示した既存ルールについて、一部自治体の運用状況を調査し、対応時の留意事項を整理したものだ。

車いす、歩行器、歩行補助つえなど、補装具と介護保険の福祉用具で重複する品目は、原則として介護保険の給付が優先される。

ただし、介護保険で貸与される福祉用具は、標準的な既製品から選択することになる。医師や身体障害者更生相談所などが、本人の身体状況に個別に対応する必要があると判断した場合は、介護保険の対象者でも補装具費支給制度を利用できる。

例えば、標準的な車いすでは姿勢を保つことが難しく、オーダーメイドによる製作や個別の調整が必要な場合などが想定される。ただし、本人の希望だけで補装具を選べるわけではなく、身体状況や制度上の要件に基づいた判断が必要となる。

厚労省が一部自治体の運用を調べたところ、介護保険の被保険者になる前に補装具を利用していたか確認していないケースがあった。介護保険の対象者でも補装具を利用できる場合があることを、問い合わせがあったときだけ説明している自治体も確認された。

また、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員が補装具の利用を適切と考えた場合に、介護保険担当と障害福祉担当のどちらへ相談すべきか、自治体が十分に案内していないケースもあった。

通知では、相談を受けた自治体に対し、介護保険の被保険者になる前の補装具利用歴を確認するよう求めた。過去の利用歴は、介護保険の対象となった後も、個別に製作・調整した補装具が適している可能性を把握する手掛かりになる。

補装具と介護保険の福祉用具の両方について利用要件を満たす場合、最終的にどちらを希望するかは本人の判断となる。その前提として、自治体は両制度の取り扱いや、介護保険の対象者でも補装具を利用できる場合があることを説明する必要がある。

利用品目を検討する際は、本人の身体状況や意向をケアプランの作成過程で共有し、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員などの関係職種で検討することも求められている。

今回の通知によって制度そのものが変わるわけではないが、自治体による案内や確認方法のばらつきを減らす狙いがある。標準的な福祉用具では対応が難しい利用者については、過去の補装具利用歴や身体状況を確認し、介護保険と障害福祉の担当部署を交えて検討することが重要となる。

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