摘便
ひとことでいうと
摘便
摘便とは、直腸内にたまった便を、肛門から指を挿入して少しずつ取り除く処置です。「用手摘便」「用手的摘便」などと呼ばれることもあります。
便秘などによって硬い便が直腸内にたまり、自力で排出することが難しい場合などに行われることがあります。
単に「便が数日出ていないから行う」というものではなく、便の貯留状態や腹部症状、全身状態などを確認したうえで必要性を判断することが重要です。
摘便は身体への侵襲を伴う処置であり、肛門や直腸粘膜を傷つける可能性があるほか、実施に伴う刺激によって身体状態が変化する可能性にも注意が必要です。
摘便を行うときに注意することは?
摘便では、直腸内の便を一度に無理やり取り出そうとするのではなく、便の状態を確認しながら慎重に行う必要があります。
肛門や直腸は傷つきやすいため、強引な操作によって粘膜損傷や出血を起こす可能性があります。
また、直腸への刺激によって迷走神経反射が起こり、徐脈や血圧低下、気分不良などが生じることがあります。そのため、実施中は本人の表情や訴え、全身状態の変化にも注意します。
強い抵抗や痛み、出血などがみられる場合には、無理に処置を続けないことが重要です。
現場で知っておきたいポイント
摘便は、介護現場で見かけることがある処置ですが、一般の介護職員が通常の身体介護として自由に行える行為ではありません。
厚生労働省が整理している「原則として医行為ではない行為」には、自動血圧測定器による血圧測定や一定条件下での浣腸などが含まれますが、摘便はその一般的な整理には含まれていません。
そのため、介護職員が独自の判断で「便がたまっているから摘便する」といった対応はせず、事業所の体制や職種ごとの業務範囲を確認し、医師・看護師などへ適切に報告・相談することが重要です。
また、摘便を行うことだけで便秘への対応を終わらせず、排便回数や便の性状、食事・水分摂取量、活動量、薬剤、排便環境などを確認し、なぜ便が直腸内にたまりやすくなったのかを考える視点も必要です。
繰り返し摘便が必要になる場合には、排便管理そのものを多職種で見直すことが大切です。
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参考情報・参考文献
厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)」
2022年12月1日
参照日:2026年9月17日
日本消化管学会「便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症」
2023年
参照日:2026年9月17日
公益財団法人 日本医療機能評価機構 Minds「便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症」
参照日:2026年9月17日
