国立がん研究センターは11月6日、進行卵巣がんの術前治療で、PARP阻害薬オラパリブと免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブの併用を調べた医師主導治験を紹介した。基礎研究では効果の増強が期待されていたが、今回の患者を対象とした検証では、明確な上乗せ効果は確認できなかった。
■対象はHRD陽性の30人
国立がん研究センターの発表によると、対象はHRD(相同組換え修復欠損)陽性の進行卵巣がん患者30人である。オラパリブだけを使う10人と、ペムブロリズマブを併用する20人を評価した。国立がん研究センター東病院、四国がんセンター、久留米大学が共同で実施した。
がんの縮小が確認された割合は単独療法で50.0%、併用療法で70.0%だった。ただし、両群に明確な差は認められなかった。数字だけを比べて「併用すれば効果が高まる」と結論づけることはできない。
■免疫細胞の増加と治療効果は別に評価
腫瘍の検体を調べても、PARP阻害薬だけで明確に免疫反応が高まるという変化は確認されなかった。併用群では免疫細胞が増えたものの、治療効果の明確な上乗せには結びつかなかった。基礎研究で想定された仕組みが、患者の体内でも同じように働くかを調べる意義を示す結果である。
■標準治療を変える発表ではない
今回の検証は30人のパイロット試験であり、この結果だけで併用療法を勧めるものではない。国立がん研究センターは、手術と抗がん剤治療の後にPARP阻害薬などを使う維持療法と、今回の術前治験を区別して説明している。
がん治療を受ける人の在宅生活を支える看護・介護の現場でも、研究段階の成果と、現在受けている治療の説明を混同しないことが重要である。薬を併用する研究の発表は、そのまま新しい標準治療の成立や承認を意味しない。論文はClinical Cancer Researchの10月15日号に掲載され、今回11月6日に研究内容が紹介された。
