リハビリ記録からAIで自立度を推定 滋賀大など、正式評価を補う可能性を検証

2026.11.07
リハビリ訓練室と記録用端末を描いた水彩イラスト。リハビリ記録から自立度を推定、AIの可能性と限界の文字。

滋賀大学は11月6日、日常のリハビリテーション記録から、患者が生活動作をどの程度自立して行えるかをAIで推定する研究を紹介した。正式な評価の間に起きる変化を記録から補足することを目指すもので、実際の診療や介護現場で評価を置き換えられると確認されたわけではない。

■日々の文章を、評価の手がかりに

食事や着替え、移動などに必要な介助の程度は、リハビリの目標や退院後の支援を考える重要な情報である。研究が対象としたFIM(機能的自立度評価法)は、こうした生活上の自立度を数値で捉える指標だ。

研究チームは、済生会守山市民病院で2019年から2024年にリハビリを受けた842人の記録を分析した。対象は脳梗塞、大腿骨近位部骨折、椎体骨折の患者で、約16万4千件の文章記録を使った後ろ向き研究である。院内で動く大規模言語モデルを用い、診療記録を外部クラウドへ送らずに推定した。滋賀大学の発表によると、論文は10月27日に公開された。

■「77.7%」が表す範囲に注意

同じ患者の同日の実測値と比較できる「記録とFIM評価項目の組み合わせ」17万744組のうち、AIが数値を推定できたのは5万7,246組、33.5%だった。その推定可能な組の77.7%で、実測値との差が1点以内に収まった。全ての記録を77.7%の正確さで評価できたという意味ではない。

何が記録されているかによって推定できる項目が変わることも課題となる。また、原論文では、過去の直近の評価値をそのまま使う比較方法に対し、比較対象全体ではAIの方が平均誤差が大きかった。ただし、FIMが変化した部分集団ではAIの方が誤差が小さく、記録の使い方や対象によって結果が異なった。

■正式評価の代替ではなく、補完の研究

介護・リハビリの連携では、点数だけでなく、どの動作にどのような支援が必要かという記録の中身が欠かせない。今回の研究は、その日常記録を継続的な状態把握に生かす方法を検討したものと位置付けられる。

検証は一つの病院の過去の記録に基づく。研究チームは、複数職種の記録の活用や他施設での検証を今後の課題としている。現時点で正式なFIM評価を省略できる技術、あるいは業務負担を実際に減らした導入事例として捉えることはできない。

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