咀嚼
ひとことでいうと
咀嚼
咀嚼とは、口に入れた食べ物を歯などで噛み砕き、舌や頬を使って唾液と混ぜながら、飲み込みやすい状態へ変えていく働きです。
食事では、単に上下の歯で食べ物を噛むだけではありません。口唇、舌、頬、顎などが協調して動き、食べ物を口の中で移動させながら細かくしていきます。厚生労働省の情報でも、口腔には食べる機能として咀嚼があり、食物と唾液が混ざることが説明されています。
固形物では、咀嚼によって食物を粉砕して唾液と混ぜ、嚥下できる状態へ整えていく過程が重要です。日本摂食嚥下リハビリテーション学会では、この過程をProcessingとして説明しています。
そのため咀嚼は、食事の中で独立しているわけではなく、その後の嚥下へつながる重要な機能です。
咀嚼と嚥下は何が違う?
咀嚼と嚥下は、どちらも「食べる」ために必要ですが、意味は異なります。
咀嚼は、主に食物を噛み砕き、唾液と混ぜながら飲み込みやすい状態へ整える過程です。
一方、嚥下は、食物などを口から咽頭・食道を通して送り込む「飲み込む」働きです。日本摂食嚥下リハビリテーション学会では、「摂食」は食べる過程全体を表し、その中に捕食・咀嚼・嚥下などが含まれると説明しています。
したがって、
咀嚼=噛んで飲み込みやすくする
嚥下=飲み込む
と考えると基本的な違いを理解しやすくなります。
ただし実際の食事では両者が完全に独立して順番に起こるわけではなく、固形物の咀嚼嚥下では、咀嚼中から処理された食物が口腔の後方へ送られることがあります。
現場で知っておきたいポイント
食事介助では、「口に入った=食べられている」と判断しないことが大切です。
食べ物をいつまでも噛み続ける、十分に噛まずに飲み込む、口の中に食べ物が残る、食べ物を丸のみするなどの様子があれば、咀嚼や摂食嚥下機能に問題がないか確認する必要があります。
歯の状態だけでなく、義歯、舌や頬の動き、唾液、認知機能など、食べるために必要なさまざまな要素を考えることが重要です。
また、咀嚼が必要な食品を丸のみするなどの摂食行動がある場合には、窒息リスクにも注意が必要です。日本摂食嚥下リハビリテーション学会も、認知症などで詰め込みや丸のみがみられる場合、食事形態にかかわらず窒息リスクが生じ得るため、摂食場面の観察が重要としています。
異変が続く場合は、歯科医師・歯科衛生士・言語聴覚士・医師・看護師などの専門職へ共有し、食事形態も含めて評価することが大切です。
参考情報・参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の機能」
参照日:2026年9月11日
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会「健常例.座位.固形物咀嚼嚥下」
2019年
参照日:2026年9月11日
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会「摂食嚥下のリハビリテーション総論」
参照日:2026年9月11日
