社会福祉法人一条協会は2026年11月4日、運営する障害者支援施設レジデンスわかふじ(高知県四万十市)で同年1月に発生した利用者死亡事案について、検証報告書の概要版を公表した。外部委員による検証は、当日の職員の対応だけでなく、見守りの責任、引継ぎ、管理者への報告・相談など、支援を支える組織の仕組みにも課題があったと指摘している。
■見守る担当が明確でないまま対応
報告書によると、利用者は1月9日、施設のシャワー室で意識と呼吸がない状態で発見され、搬送先の医療機関で死亡が確認された。それ以前に裸の状態で食事が提供され、その後、シャワー室に一人でいる時間があった。
検証では、複数の職員が利用者の所在を認識していた一方、具体的に見守る担当者を定めていなかったことを問題として挙げた。自ら出てくるだろうという見込みや、休憩時の引継ぎの不備、通常と異なる支援方法について管理者へ報告・相談しなかったことなどが重なり、危機に対応する仕組みが十分に機能しなかったと整理した。
また、本人の特性に応じた支援方法を見直し、職員間で統一する検討が十分でなかったことや、現場の課題を組織として共有して改善につなげる取組の不足も指摘している。個々の職員の判断だけに原因を限定しない検証となっている。
■手順や研修を実際の支援に結び付ける提言
報告書の提言は、利用者ごとのリスク評価、個別支援計画や手順書の点検、通常と異なる対応時の報告・相談・承認のルール整備を求めている。ヒヤリハットや事故報告を収集・分析し、慣例になった不適切な対応や潜在的な危険を見つけて是正する仕組みも挙げた。
職員研修については、人権や尊厳、職業倫理を基礎とし、対話や実践を通じた研修と現場での指導を結び付けることを提案した。管理者が日常的に現場を把握すること、率直に支援方法を指摘し合える関係づくり、職員の負担軽減や外部の視点を取り入れる体制も課題としている。
■再発防止に向けた検証と処分判断を区別
この報告書は、5人の外部委員が資料や関係者への聞き取りをもとに検証し、2026年10月にまとめたものである。活動期間や調査体制などに限界があることを明示し、職員への懲戒処分などは、法人や関係機関が別途適切な手続きで判断する事項としている。
今回新たに示されたのは、再発防止に向けた組織的課題と改善の提言である。規則や研修を用意するだけでなく、それが現場の判断や情報共有に結び付いているかを確認し、継続的に改善することを求めている。
