東京都は2026年11月2日、次期介護報酬改定に向けた緊急提言を厚生労働大臣に提出した。訪問介護について、常勤職員を雇用しながら安定的に運営できる基本報酬を求めるとともに、生活援助や総合事業など地域のニーズに対応する事業所を評価する加算を要望した。都の発表によると、提言は基本報酬、地域区分、訪問介護、ケアマネジャーの処遇、施設での医療的ケアに関する5項目で構成される。
■移動・待機・記録も踏まえた基本報酬を要望
都は、訪問介護の収支には、事業所の規模や併設施設の有無、サービスの組み合わせ、常勤職員の割合などが影響すると指摘した。その上で、物価や賃金の上昇に加え、移動・待機・記録など、利用者宅でのサービス提供に付随する業務時間の費用も適切に捉えた報酬が必要だとしている。
緊急提言の本文では、常勤ヘルパーを確保し、必要な時間に訪問できる体制を維持するための費用を基本報酬に反映するよう求めた。平均的な収支だけで判断せず、運営形態に応じて経営実態を詳しく分析することも要求している。
■生活援助や困難事例への対応にも評価を
もう一つの柱が、地域を支える訪問介護事業所への評価だ。生活援助や総合事業を含むサービスを提供する事業所に対し、加算を設けるよう求めた。具体的には、住民主体のサービスの質を保つための協力や、困難事例、地域ニーズに応じた総合事業の受け入れ実績などを評価する考えを示している。
都は、必要な生活支援に応える事業所が継続してサービスを提供できる報酬を目指すとしている。現場で担う役割と、それに必要な人員・時間・経費を、報酬の仕組みにどう反映するかを問う提言である。
■現段階は東京都から国への要望
今回の内容は東京都の提言であり、基本報酬の引き上げや新たな加算の導入が決まったわけではない。訪問介護事業所にとっては、常勤雇用を支える費用と地域で担う役割が、今後の国の審議でどのように扱われるかが注目点となる。
