農作業と認知機能の関連を分析 高齢者447人の研究、予防効果は未確立

2026.10.27
畑と農具を背景に、農作業と認知機能、高齢者447人の横断研究、関連を分析・予防効果は未確立と示したニュース画像

東京科学大学は2026年10月26日、農作業の時間と高齢者の認知機能との関連を調べた研究を発表した。一部の比較で関連がみられたが、認知症の予防効果を証明したものではない。高齢者の暮らしや役割を考える手がかりと、研究の限界を分けて読む必要がある。

■ 新潟県の高齢者447人を分析

対象は新潟県十日町市に暮らす65~84歳の447人である。2017年9~10月の調査データを用い、農作業時間を「なし」「週9時間未満」「週9~21時間」「週21時間超」に分類した。今回の発表は、2026年に新たに参加者を調べた結果ではない。論文は9月26日付の学術誌に掲載された。

認知機能はMMSE-Jという検査で評価し、23点以下を研究上の「認知機能低下」とした。この区分は認知症の診断ではなく、以前より機能が低下したことを追跡して確かめたものでもない。

■ 関連があった指標、なかった指標

年齢や身体活動量などを統計的に調整すると、週21時間超の群は農作業なしの群に比べ、23点以下に該当するオッズが低かった。調整オッズ比は0.21、95%信頼区間は0.05~0.93であった。これは発症率や予防効果を示す数値ではない。ほかの時間区分では有意な関連は認められなかった。

一方、検査得点そのものや、総灰白質・扁桃体・海馬の容積とは有意な関連がなかった。農作業が長いほど段階的に良い結果になる関係も確認されていない。23点以下だった人は週21時間超の88人中3人と少なく、推定には大きな不確実性がある。

■ 活動時間の推奨ではなく、暮らしを考える材料に

これは一時点を調べる横断研究である。農作業が認知機能に影響したのか、認知・身体機能が良好な人ほど農作業を続けやすかったのかは判断できない。ほかの地域でも同様の関連がみられるか、継続的な追跡による検証が必要だ。

介護・福祉の現場にとって重要なのは、週21時間超を目標にすることではない。農作業には身体活動だけでなく、計画や判断、交流、役割を持つ側面もある。ただし、どの要素が結果に関わったかは未解明だ。今回の知見は、活動を一律に勧める根拠ではなく、本人の希望や体力に沿った暮らしを考えるための探索的な材料と位置づけたい。

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