iPS心筋球のカテーテル投与、虚血性心疾患群で第1例 HS-005治験が進展

2026.10.28
HS-005のiPS心筋球治験を伝える心臓と細胞の概念イメージ。書類上のグラフは実際の治験データではない。

Heartseedは2026年10月27日、iPS細胞由来の心筋球をカテーテル等で投与する開発品「HS-005」の国内治験で、虚血性心疾患を原因とする重症心不全の患者に第1例の投与を行ったと発表した。投与後4週間のデータを基に、独立安全性評価委員会が、この患者群で治験を続けることを承認した。

心臓の収縮機能が低下した患者を対象に、細胞を投与する方法の安全性や有効性を調べる取り組みである。今回の発表は治験の進捗を示すもので、製品の承認や一般診療での提供開始を意味するものではない。

■ 心筋球をカテーテルで投与する治験

HS-005は、他の人の細胞に由来するiPS細胞から作った心筋細胞を、小さな集まり「心筋球」にして用いる開発品である。国内で進めている「EMERALD試験」は第I/II相の企業治験で、虚血性心疾患と拡張型心筋症による心不全の患者を、それぞれ7人、計14人組み入れる計画だ。

厚生労働省の臨床研究情報ポータルでは、対象は左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)の患者とされている。左室駆出率は、心臓の左心室が血液を送り出す働きを示す指標である。試験では移植に関する安全性を主要評価項目とし、心機能や生活の質(QOL)も評価する。細胞の移植後には免疫抑制薬を使用する計画である。

■ 6月の第1例とは対象の患者群が異なる

同社は2026年6月12日にも、第1例を実施したと発表している。ただし、このときの対象は拡張型心筋症による心不全であった。今回新たに報告したのは、虚血性心疾患による重症心不全の患者群での第1例であり、治験全体の初投与という意味ではない。

10月27日の発表によると、拡張型心筋症群では、すでに複数症例の組み入れが完了している。一方、今回の虚血性心疾患群への投与実施日は明らかにされていない。10月27日は発表日であり、その日に投与したとは読み取れない。

■ 治験の継続と治療効果の確立は別

今回の「承認」は、独立安全性評価委員会による治験継続の判断である。心不全が治ることや、長期的な安全性・有効性が確立したことを示す判断ではない。4週間のデータによる継続判断と、その後の評価は分けて理解する必要がある。

心不全のある人の療養や生活を支える介護・医療職にとっては、新しい治療がどの段階まで進んだかを知るニュースとなる。ただし、現時点で日常のケアや既存の治療を置き換えるものではない。今後の症例の積み重ねと、安全性、心機能、QOLの評価が注目される。

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