厚生労働省は9月11日、2025年度の「使用者による障害者虐待」の状況を公表した。通報・届け出の対象となった障害者は1953人で、前年度から6.9%増加した。このうち、虐待が認められた障害者は610人だった。
使用者による障害者虐待とは、障害者を雇用する事業主や職場の上司などによる虐待を指す。障害福祉施設における利用者への虐待とは異なり、一般企業を含む職場で働く障害者が対象となる。
通報・届け出があった事業所は1663事業所で、前年度から4.4%増加した。一方、調査の結果、虐待が認められた事業所は421事業所で3.0%減少。虐待が認められた障害者も、前年度の652人から610人へ6.4%減少した。
認定された虐待種別は、経済的虐待が521人、83.1%で最も多かった。心理的虐待は62人、9.9%、身体的虐待は31人、4.9%、放置などによる虐待は9人、1.4%、性的虐待は4人、0.6%だった。
経済的虐待は、障害者の財産を不当に処分したり、本人から不当に財産上の利益を得たりする行為を指す。虐待種別は、一人に複数の虐待が認められた場合に重複して計上されているため、合計は虐待が認められた610人と一致しない。
虐待が認められた障害者を就労形態別に見ると、パート・アルバイトが272人、44.6%で最多だった。正社員は203人、33.3%、期間契約社員は24人、3.9%、派遣労働者は4人、0.7%となっている。
虐待が認められた421事業所を業種別に見ると、「医療・福祉」が102事業所、24.2%で最も多かった。製造業は87事業所、卸売業・小売業は58事業所、宿泊業・飲食サービス業は46事業所だった。「医療・福祉」には幅広い事業が含まれており、介護・障害福祉事業所だけの数字ではない点には注意が必要だ。
事業所規模では、従業員5~29人の事業所が168カ所、39.9%で最多。5人未満も70カ所、16.6%を占め、小規模な職場で認定された事例が半数を超えた。
労働局が虐待に対して講じた措置は計658件。このうち、労働基準関係法令に基づく指導などが561件、85.3%を占めた。最低賃金法に基づく指導なども207件あった。
厚労省は、地方公共団体と連携し、使用者による障害者虐待の防止に引き続き取り組むとしている。障害者を雇用する事業所には、賃金管理や相談体制の確認に加え、障害特性を踏まえた業務指示や職場内研修などの対応が求められる。
