大阪府羽曳野市の認知症グループホーム「みやび」で、職員4人による入所者4人への虐待が認定された。市は施設への調査や職員への聞き取りを行い、9月24日付で改善を求める書面での行政指導を行った。事案は10月9日に明らかになったもので、虐待が同日に発生したわけではない。
■ 身体を締め付ける行為や、衣装を着せて笑う行為
市の調査で認定された行為には、70代の男性入所者の頭を腕で締め付けたり、身体を逆さまに抱えて持ち上げたりする行為が含まれる。80代の女性入所者には、チアリーダーやピエロ風の衣装を着せて外出させ、その姿を見て笑う行為があった。
ほかの女性入所者に対する身体への不適切な接触や、トイレ介助中に身体を押さえつける行為も認定された。身体的な危害を伴う行為に加え、本人の尊厳を傷つける行為が問題となっている。
市が虐待を認定したのは、同じフロアの入所者9人のうち4人に対する行為。職員への聞き取りなどから、虐待は2024年ごろに始まり、約2年間続いていたとみられている。
■ 内部通報から市の調査へ
施設内では8月29日に虐待を疑う内部通報があり、施設側が9月3日に市へ連絡した。市は職員への聞き取りや施設の調査を進め、9月8日に警察へ通報。9月24日付で施設に書面による行政指導を行い、職員の認識や管理体制の改善を求めた。
職員の一部は、市の聞き取りに対し、入所者とふざけ合っていたという趣旨の説明をしたとされる。しかし、行為をした側が軽い気持ちだったとしても、入所者の身体を締め付けたり、本人を笑いの対象にしたりすることは正当化されない。
施設を運営する法人は虐待があったことを認め、家族に謝罪した。虐待を主導したとされる職員は退職しており、ほかの関係職員への対応も検討しているという。警察への通報後の捜査結果や、今後の行政対応は現時点で確認できていない。
■ 問われるのは、行為を止められる職場の体制
今回の事案では内部通報が発覚のきっかけとなった。一方、複数の職員が関わる行為が長期間続いたとみられる点は重い。個々の職員への対応にとどまらず、不適切な行為を見た職員が声を上げ、その後に行為を止められる体制が機能していたかを確認する必要がある。
厚生労働省の2024年度調査では、全国で養介護施設従事者等による虐待と判断された事例は1,220件。このうち認知症対応型共同生活介護は181件だった。これは全国の同年度の集計であり、今回の施設の状況を示す数字ではない。
認知症グループホームは、入所者の日常生活を近い距離で支える場だ。利用者が不快感や被害を訴えにくい場合も考慮し、通報を受けた後だけでなく、日々の介助や職員間の関わりを通じて尊厳を守れるかが問われる。
