遂行機能障害

(すいこうきのうしょうがい)とは?
Executive Dysfunction
(エグゼクティブ・ディスファンクション)
別名・関連する表現:実行機能障害, 遂行機能の障害, 計画や段取りの困難

ひとことでいうと

目的に合わせて計画を立て、行動を始め、状況に応じて修正することが難しくなる状態です。料理や買い物などの段取りに支障が生じるため、怠けと決めつけず、手順を見える形にするなどの支援が大切です。

遂行機能障害

(すいこうきのうしょうがい)の意味

遂行機能障害とは、目標を決めて必要な手順を組み立て、実行し、結果を確認して修正するなどの目的に沿って行動を調整する力が損なわれた状態です。知っていることや一つの動作ができても、複数の工程をまとめて進める場面で困難が現れることがあります。

遂行機能には計画、判断、行動の開始、衝動の抑制、考え方や行動の切り替えなどが含まれます。前頭葉を中心とする脳の働きと関係しますが、一つの部位だけで成立する機能ではありません。脳卒中や頭部外傷による高次脳機能障害、認知症などで問題となることがあります。

例えば、料理で材料を用意する順序がわからない、買い物の予算を考えられない、予定が変わっても同じ方法を続けてしまうといった形で生活に影響します。記憶や注意の障害が重なっている場合もあり、失敗した行動だけで原因を判断することはできません。

本人の怠けや意欲不足と決めつけないことが重要です。困難が生じる場面と保たれている力を評価し、手順表、環境調整、適切な声かけなどを組み合わせます。支援は本人の希望や生活目標に合わせ、専門職と共有して調整します。

検査結果と生活場面を合わせて支援を考える

遂行機能の評価では、検査での成績だけでなく、実際の生活で目標を立て、途中の問題に対応できるかを確認します。静かな場所で短い課題ができても、複数の用事が重なる自宅や職場では難しさが現れることがあります。生活場面での観察が支援を考える手がかりになります。

注意障害は必要な情報に注意を向けること、記憶障害は情報を覚えて思い出すことの困難が中心です。遂行機能障害では、それらの力も使いながら行動全体を組み立てることが難しくなります。互いに影響するため、どれか一つの問題と単純に分けられない場合があります。

支援では、作業を小さな工程に分け、終わった手順に印をつける、次の行動を一つずつ伝えるなどの代償手段を使います。すべてを代わりに行うのではなく、本人ができる部分を残し、必要な時点で援助します。うまく進んだ条件を記録し、家族と支援者で方法をそろえることも大切です。

現場で知っておきたいポイント

支援を始める前に、どの工程で止まるのか、何があれば進められるのかを具体的に確認します。本人の希望を聞き、一度に伝える情報を絞ることから工夫します。

  • 作業は短い手順に分け、写真やチェック表で順番を示す。
  • 道具は使う順に置き、不要な物や周囲の刺激を減らす。
  • 声かけは一つずつ行い、理解と実行を待ってから次へ進む。
  • 予定変更は早めに伝え、代わりの行動を一緒に確認する。
  • 火の使用、服薬、金銭管理などは危険の程度に応じて見守る。

失敗を責めたり、何度も指示を重ねたりすると、本人の負担が増えることがあります。できた場面の条件も記録し、支援量が多すぎないかを見直します。疲労や時間帯による違いも共有してください。

生活への影響が続く場合は医師や作業療法士などに相談します。急にできないことが増えた場合は、新たな体調変化も考え、速やかに医療職へ報告します。

関連する用語

参考情報・参考文献

国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター「高次脳機能障害を理解する」

遂行機能障害の生活上の特徴と、高次脳機能障害に含まれる主な症状を確認しました。

https://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/rikai/

参照日:2026年10月11日

国立障害者リハビリテーションセンター「〔トピックス〕社会復帰をめざす高次脳機能障害リハビリテーション」

生活場面の評価、環境調整、代償手段を用いた支援を確認しました。

https://www.rehab.go.jp/rehanews/japanese/No363/3_1_story.html

参照日:2026年10月11日

Cleveland Clinic「Executive Dysfunction」

英語表記、遂行機能の構成要素、関連する病態と怠けとの違いを確認しました。

https://my.clevelandclinic.org/health/symptoms/23224-executive-dysfunction

参照日:2026年10月11日

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