レム睡眠行動障害
ひとことでいうと
レム睡眠行動障害
レム睡眠行動障害は、レム睡眠中に通常みられる骨格筋の活動抑制が十分に働かず、夢に関連した発声や動作が生じる睡眠障害です。英語ではREM Sleep Behavior Disorder、略してRBDと表し、レム睡眠行動異常症とも呼ばれます。
大声の寝言、腕を振る、蹴るなどがみられ、夢の場面に応じた動きとして現れることがあります。ベッドからの転落や同室者への接触でけがにつながる場合がありますが、動作の激しさや頻度は人によって異なります。寝言や通常の寝返りだけでRBDとは判断できません。
パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症などに伴うことがあり、神経疾患が明らかになる前に現れる場合もあります。一方、原因が明らかでない場合や薬剤との関連もあり、RBDがあるだけで特定の神経疾患を発症すると断定はできません。
睡眠時無呼吸に伴う動き、ノンレム睡眠からの睡眠時随伴症、夜間のてんかん発作などとの鑑別が必要です。診断には本人・家族からの経過に加え、睡眠ポリグラフ検査でレム睡眠中の筋活動などを確認する専門的評価が重要です。介護場面の観察は診断の手がかりとして共有します。
睡眠中のけがを防ぐには?
まず寝室で何にぶつかり、どこから転落するおそれがあるかを確認します。寝床の周囲にある硬い物や割れやすい物を移し、家具の角などを保護します。低い寝床や配置の見直しは、立ち上がりや移乗の能力も含めて検討し、単に床へ寝かせればよいと一律に考えません。
隣で眠る方にもけがの危険がある場合は、距離を確保する、必要に応じて寝床を分けるなど、本人と同室者の安心を両立させます。柵で囲む、身体を縛るなどの対応に安易に頼らず、介護・医療職と環境を調整します。動きが出ている最中は不用意に近づいて押さえ込まず、安全な位置から状況を確認します。
いつ起きたか、どのような声や動作か、けが、目覚めた後の夢の記憶、日中の眠気などを記録して受診時に伝えます。治療薬や服用中の薬の調整は医師が判断します。診断前でもけがを繰り返す場合は早めに相談し、動作だけをみて認知症の行動症状や寝相の悪さと決めつけないことが大切です。
現場で知っておきたいポイント
睡眠中の声や動作を具体的に捉え、本人と周囲の方のけがを防ぎながら専門的な評価につなげます。
- 記録:発生時刻、頻度、声や手足の動き、けがの有無を残します。目覚めた後の様子や夢の記憶も伝えます。
- 寝室:硬い物や割れやすい物を片づけ、家具の角と転落のおそれを確認します。移乗能力に合う寝床を検討します。
- 同室者:接触してけがをする危険があれば距離を取り、寝床を分ける方法も含めて本人・家族と相談します。
- 対応:動いている最中に近づいて無理に押さえ込まず、安全を確保します。身体拘束に安易に頼らないでください。
- 相談:服薬、いびき、呼吸の様子、日中の眠気も共有します。薬は自己判断で増減・中止せず、医師へ確認します。
寝言だけで診断せず、繰り返す異常行動やけがは睡眠専門医などへ相談します。転落後の意識の異常や強い痛みなどは、通常の経過観察で済ませず緊急性を判断します。
参考情報・参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット「レム睡眠行動障害」
確認内容:レム睡眠中の筋活動抑制の障害、夢に関連した行動と神経疾患との関係。
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-070.html
参照日:2026年10月15日
日本睡眠学会「睡眠障害を診断するための検査」
確認内容:RBDの正式英語・略語、診断のための睡眠ポリグラフ検査。
https://www.jssr.jp/basicofsleepdisorders3
参照日:2026年10月15日
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部「睡眠時随伴症」
確認内容:RBDと他の睡眠時随伴症の違い、薬剤との関連、寝室と同室者の安全確保、診断の概要。
https://www.ncnp.go.jp/nimh/sleep/sleep-medicine/parasomnia/index.html/index.html
参照日:2026年10月15日
