陰部洗浄
ひとことでいうと
陰部洗浄
陰部洗浄は、陰部や会陰部に付着した尿・便・汗・分泌物をぬるま湯で洗い流し、皮膚を清潔に保つケアです。おむつ使用者や失禁がある人、入浴できない人などに行います。清潔保持だけでなく、臭い、不快感、失禁関連皮膚炎、尿路感染症などのリスクを減らし、皮膚と排泄の変化を観察する機会になります。
皮膚は湿気や排泄物の刺激で傷つきやすくなります。洗浄剤を使いすぎたり強くこすったりすると、必要な皮脂まで失われ、乾燥やびらんを招きます。基本は体温に近いぬるま湯を用い、汚れが強い場合のみ低刺激の洗浄剤を十分に泡立てて使い、残らないよう流します。洗浄後は押さえるように水分を拭き取り、必要に応じて保湿・皮膚保護を行います。
感染を防ぐため、清潔な側から汚れた側へ洗います。女性では尿道口側から肛門側へ、男性では包皮を無理なく扱い、洗浄後に元の位置へ戻します。便汚染がある場合は先に便を取り除き、洗浄用具を再び清潔側へ戻さないようにします。介助者は手袋を着用し、ケア前後に手指衛生を行います。
陰部は羞恥心が強い部位です。ケアの目的と手順を説明し、同意を得て、カーテンやタオルで露出を最小限にします。異性介助への希望や本人の習慣を尊重し、本人が洗える部分は任せます。強い痛み、出血、ただれ、腫れ、膿、悪臭、排尿時痛などがあれば看護職へ報告します。
清潔保持と皮膚・感染の観察
陰部洗浄は毎回機械的に行うのではなく、排泄状況、皮膚状態、本人の希望に合わせます。尿だけで皮膚汚染が軽い場合は、過度な洗浄より適切な交換と保湿が皮膚を守ることもあります。便失禁や下痢では刺激が強いため早めに汚れを除きます。洗いすぎも皮膚障害の原因になることを理解しておきます。
ケア中は発赤、びらん、白い付着物、湿疹、水疱、出血、腫れ、分泌物を観察します。本人が言葉で痛みを訴えにくい場合は、触れたときの表情や身体の緊張も手掛かりです。尿の濁りや臭いだけで感染を断定せず、発熱、頻尿、排尿時痛、意識の変化などを合わせて確認します。気づいた変化を部位と範囲が分かるよう記録し、看護職へ共有します。
現場で知っておきたいポイント
必要物品を手の届く位置に準備し、ケア中に本人を一人にしないようにします。
- 目的を説明して同意を得て、扉・カーテンを閉める
- 湯温を介助者だけでなく本人にも確認してもらう
- 清潔側から汚れた側へ、一方向に優しく洗う
- 洗浄剤を残さず流し、水分を押さえるように拭く
- 発赤、びらん、痛み、出血、尿・便の変化を観察する
洗浄ボトルの先端を皮膚に触れさせず、使用物品は事業所の手順で処理します。ケア後の手指衛生と記録までを一連の手順とします。強い痛み、急な腫れ、出血、発熱や意識変化を伴う場合は医療職へ速やかに相談します。
参考情報・参考文献
厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き」
排泄ケアにおける標準予防策、手袋、手指衛生と汚染拡大防止を確認。
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001149870.pdf
参照日:2026年9月28日
厚生労働省 職業情報提供サイト「訪問介護員/ホームヘルパー」
訪問介護における排泄介助と清潔保持の位置づけを確認。
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/133
参照日:2026年9月28日
