低血糖
ひとことでいうと
低血糖
低血糖は、血液中のブドウ糖が必要以上に少なくなり、脳や身体へ十分なエネルギーが届かなくなる状態です。一般に血糖値70mg/dL未満が目安とされますが、症状が出る値や重症度には個人差があります。糖尿病治療薬やインスリンを使用している人で起こりやすく、食事量の不足、食事時間の遅れ、運動量の増加、飲酒、腎機能低下などが誘因になります。
初期には冷汗、手の震え、動悸、強い空腹感、不安感、顔色不良などがみられます。さらに進むと集中困難、ろれつが回らない、ふらつき、異常行動、眠気、意識低下、けいれんが起こることがあります。高齢者や低血糖を繰り返している人では、典型的な自覚症状が乏しいまま意識障害へ進むことがあるため注意が必要です。
介護現場では、普段と違う発汗、ぼんやり、反応低下、急な怒りっぽさ、歩行不安定などを「認知症だから」「眠いだけ」と決めつけないことが重要です。血糖測定の指示がある人は手順に従って確認し、あらかじめ医師・看護職から示された対応方法を実施します。意識があり安全に飲み込める場合と、意識が低下している場合では対応が異なります。
意識が悪い人へ無理に飲食物を口から与えると誤嚥の危険があります。意識低下やけいれんは緊急対応が必要です。救急要請や看護職への連絡を行い、気道と安全を確保します。回復後も再発や背景原因の確認が必要なため、発生時刻、食事量、薬、活動、症状、対応内容を記録して医療職と共有します。
高齢者では典型的な症状が出ないことがある
高齢者では食欲低下、嚥下障害、感染症、脱水などで食事量が急に減ることがあります。いつもどおり薬を使用していても、摂取量との釣り合いが崩れると低血糖が起こり得ます。食事を残したときや嘔吐・下痢があるときは、薬の扱いを介護職だけで判断せず、看護職や主治医へ相談します。
予防には、食事時間と服薬・注射の関係を守り、活動量や体調の変化を記録することが役立ちます。本人ごとの低血糖症状、補食の内容、連絡先、救急対応をケアチームで共有します。夜間の寝汗、悪夢、起床時の頭痛や強いだるさが夜間低血糖の手掛かりになることもあります。一度回復しても原因を確認せずに終わらせないことが再発予防につながります。
現場で知っておきたいポイント
糖尿病治療中の人に急な変化があれば、低血糖の可能性を意識して対応します。
- 発汗、震え、空腹、顔色、言動、歩行、意識を観察する
- 食事量、服薬・注射、運動、嘔吐や下痢の有無を確認する
- 指示がある場合は血糖を測定し、時刻と値を記録する
- 意識と嚥下が保たれているかを確認してから指示された補食を行う
- 意識低下やけいれん時は口から与えず、救急対応につなげる
補食後に症状が改善しても、再び低下することがあります。決められた時間に再確認し、医療職へ報告します。転倒防止のため一人で歩かせないことも重要です。低血糖を疑う状態で判断に迷う場合は、早めに看護職や救急相談へつなぎます。
参考情報・参考文献
厚生労働省「高齢者糖尿病の薬物療法」
高齢者が低血糖を起こしやすい背景、非典型症状と対処の考え方を確認。
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000363280.pdf
参照日:2026年9月28日
厚生労働省「患者の皆様へ 低血糖」
低血糖の症状、早期発見、重症時の危険性と対応を確認。
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1d46.pdf
参照日:2026年9月28日
