表在感覚
ひとことでいうと
表在感覚
表在感覚とは、主に皮膚への刺激によって生じる触れた感じ、痛み、温度などの感覚の総称です。表在知覚や皮膚感覚とも呼ばれます。触覚、圧覚、痛覚、温覚・冷覚などが含まれ、周囲の物との接触や有害な刺激に気づく働きがあります。
刺激は皮膚などの感覚受容器で受け取られ、末梢神経や脊髄などの経路を通って脳へ伝わります。触覚、痛覚、温度覚はまったく同じ情報ではなく、ある種類は分かっても別の種類は感じにくい場合があります。どの感覚が、どの部位で変化したかを確認します。
末梢神経、脊髄や脳の障害などにより、感覚の低下、消失、過敏さや異常な感じがみられることがあります。医療職は刺激の種類、左右差、上下肢の違いや症状の広がりを評価します。触れたことが分かるだけで痛みや熱さも正常とは限りません。
生活では衣服や寝具の圧迫、靴ずれ、熱い物などへの気づきに関わります。感覚が低下した人では、痛くないから傷がないと判断せず、皮膚の状態を目でも確認します。介護では評価に合わせて温度や接触の負担を調整し、新しい変化や日常の困りごとを医療職に伝えます。
深部感覚との違いと皮膚を守る工夫
表在感覚は皮膚などへの刺激を感じる働きで、関節の位置や動きを捉える深部感覚とは区別されます。両者が一緒に障害される場合も、片方だけが低下する場合もあります。足が床に触れたことと、関節がどの位置にあるかは違う情報として考えます。
しびれという訴えには、触れた感じが弱いことだけでなく、何も触れていないのにビリビリする感じなども含まれます。本人の言葉を具体的に聞くことが大切です。触覚の検査が良好でも、物の形や材質を認識する機能に問題がある場合があり、必要に応じて別の評価につなげます。
痛みや温度を感じにくい部位では、入浴、足浴、暖房器具や靴の使用時に配慮します。本人の感覚だけで温度や圧迫の強さを決めず、施設の手順に沿って確認します。皮膚を目で確認する習慣を整え、赤み、傷、水疱、靴の当たりなどを共有しましょう。強い痛みや熱さで感覚を試すことは避けます。
現場で知っておきたいポイント
本人の感じ方を聞き、皮膚と環境の確認を組み合わせます。
- 触れた感じ、痛み、温度のどれが分かりにくいかを確認する。
- 入浴や足浴の温度を本人の感覚だけで決めない。
- 靴ずれ、傷、赤みや水疱を目で確認する。
- 寝具、衣服、装具による圧迫やずれを調整する。
- 変化した部位、左右差、始まった時期を医療職へ伝える。
痛みの訴えがない場合でも、皮膚の傷や熱傷がないとは限りません。洗身、更衣、足のケアなどの日常場面で観察し、気づいた変化を記録します。装具や靴を外した後も皮膚の状態を確かめます。針や熱い物で感覚を試さず、必要な検査は医療職に任せましょう。本人が気づきやすい声かけや見て確認する方法を家族とも共有します。
急な感覚低下に麻痺や言葉の出にくさ、意識の変化が伴う場合は、速やかに救急対応につなげます。新しい傷や水疱も医療職へ報告します。
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参考情報・参考文献
桔梗ヶ原病院「第19回『体性感覚』」
表在感覚の構成、深部感覚との違い、ほかの感覚の評価も必要な場合を確認。
https://www.keijin-kai.jp/news/4306
参照日:2026年10月9日
日本神経学会「神経学的検査チャート作成の手引き」
触覚・痛覚・温度覚の評価と、左右差や部位差の記録を確認。
https://www.neurology-jp.org/news/news_20080715_01.html
参照日:2026年10月9日
米国国立医学図書館(NLM)MedlinePlus「Numbness and tingling」
感覚低下時の傷・熱傷予防と、緊急対応が必要な症状を確認。
https://medlineplus.gov/ency/article/003206.htm
参照日:2026年10月9日
