変形性肩関節症
ひとことでいうと
変形性肩関節症
変形性肩関節症は、肩甲骨と上腕骨の頭でできる肩甲上腕関節の関節軟骨が傷み、関節が変形する病気です。軟骨は骨同士が滑らかに動くのを助ける組織で、傷むと痛みや動きの制限につながります。単に肩がこる状態とは異なります。
原因が明確でない一次性と、ほかの病気やけがを背景とする二次性があります。二次性には腱板断裂、上腕骨頭の壊死、関節リウマチ、上腕骨近位端骨折などが関わります。肩は膝や股関節ほど体重を受けませんが、大きく動く関節であり、変形が進むと生活への影響が出ます。
肩の痛み、腫れ、腕を上げる・背中に回す動作の難しさなどがみられます。腋のあたりから肩の外側に痛みを感じることもあります。高齢者では更衣や洗髪のしにくさとして気づかれる場合があり、本人ができる動作と必要な介助を具体的に把握することが大切です。
診察とX線などで関節の隙間の狭まりや骨の変形を確認します。治療には薬や注射などを用い、痛みや動きの制限が強く生活に支障が続く場合は人工関節などの手術を検討します。介護では肩を無理に動かさず、本人の痛みと治療方針に合わせて道具や介助方法を調整します。
五十肩や腱板断裂との違い
五十肩とも呼ばれる肩関節周囲炎は、肩の周囲の組織の炎症や硬さによって痛み・動きの制限が生じる病気です。変形性肩関節症では関節軟骨と骨の変化が中心になります。両者とも腕が上げにくくなるため、症状だけで区別したり、肩が痛い人をすべて五十肩と呼んだりしないことが大切です。
腱板断裂は、肩を動かして安定させる腱が切れる状態です。軟骨が傷む病気と同じではありませんが、断裂によって関節の働きが変わり、二次性の変形性肩関節症につながる場合があります。このように、似た症状の病気が別々に存在することも、一人の肩で重なっていることもあります。
治療や介助の工夫は、関節の変形だけでなく腱板や筋肉の状態にも左右されます。人工肩関節の種類も一律ではなく、骨や腱の状態などを踏まえて選ばれます。病名だけで同じ体操を勧めないようにし、動かしてよい範囲を確認します。服の前開きや物を取る高さなど、痛みを減らす生活の調整を相談します。
現場で知っておきたいポイント
肩の痛みと、日常生活で困る動作を具体的に把握します。
- 痛む位置、夜間痛、腫れの有無と変化を記録する。
- 洗髪、上着の着脱、背中に手を回す動作の難しさを共有する。
- 物の置き場所や前開きの服など、肩の負担を減らす方法を相談する。
- 痛みを押して肩を動かさないようにし、運動範囲の指示を確認する。
- 手術後は装具、腕の使用範囲、手すりを押す動作の可否を確認する。
肩が動かしにくいことを理由に、手指やほかの動作まで一律に制限しません。本人に必要な支援をリハビリ職などと調整します。
急な強い痛みや腫れ、転倒後の動作低下、発熱を伴う変化は医療職へ速やかに伝えます。
参考情報・参考文献
慶應義塾大学病院 KOMPAS「変形性肩関節症」
一次性・二次性の背景、症状、関節の画像所見と治療を確認。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000187/
参照日:2026年10月7日
