反張膝
ひとことでいうと
反張膝
反張膝とは、膝関節がまっすぐ伸びた位置を越えて、後ろへ反る過伸展の状態です。英語ではgenu recurvatumといい、リハビリテーションの現場では「バックニー」と呼ばれることもあります。立位や歩行の際に目立つ場合があります。
関節や靱帯の緩さ、骨の形、外傷後の変化などが関係するほか、脳卒中後の麻痺でもみられます。麻痺がある場合は、筋力や筋緊張、足首の動き、足に体重をかける位置、膝の位置を感じ取る働きなど、複数の要因を考えます。
膝を反らせた位置で体重を支えることで、立っているように見える場合もあります。しかし、歩行中に繰り返し過伸展が生じると、膝の痛みや負担、動作の不安定さにつながることがあります。見た目の角度だけで安全性や原因を判断することはできません。
膝が急に曲がって支えを失う「膝折れ」とは異なり、介助技術としての「膝ロック」とも別の意味です。評価では、膝が反る場面と原因を確認し、歩行練習や装具などを個別に検討します。介助者が膝を強く押して、無理に位置を戻す対応は避けます。
膝だけでなく足首と体重のかけ方をみる
歩行中の膝の位置は、足首や股関節、体幹の動きとも関係します。膝だけを見て「筋力が弱いから」と決めつけると、必要な支援を見落とすことがあります。反張膝を確認したら、下肢全体の評価を専門職に依頼します。
例えば、足首を上に反らす動きが制限されていると、足を床につけたときのすねの移動に影響します。どの部分から接地するか、体重が移るときに膝がいつ反るかも重要です。歩行速度や疲労、履いている靴によって状態が変わる場合があります。
対応には動作練習や装具などがありますが、効果は原因や条件によって異なります。研究でもすべての方に同じ治療が適するとはいえず、歩きやすさ、痛み、膝の制御を確認しながら調整します。装具の角度やベルトを独自に変更しないようにします。
現場では、立ち上がり、歩行、方向転換など具体的な場面とご利用者様の困りごとを記録します。普段できている動作を急に制限するのではなく、安全を確保しながら支援方法を相談します。
現場で知っておきたいポイント
膝が反っていても、安定していると決めつけず、痛みと動作の変化を確認します。観察結果を介助方法の調整につなげましょう。
- 立位・歩行で膝が反る側とタイミングを観察する。
- 膝の痛み、腫れ、疲労や歩行距離の変化を聞き取る。
- 足の接地、靴と装具の装着状態を確認する。
- 膝を後ろへ押し込んだり、反動で曲げたりしない。
- 必要な歩行補助具と介助量を理学療法士などと共有する。
膝の見た目だけを修正しようとせず、立ち上がりから着座まで動作全体をみます。疲労で反り方が強くなる場合は休憩を取り、ご利用者様に合う移動方法を選びます。装具を外した後は圧迫による赤みや傷がないか確認し、職員間で観察内容を引き継ぎます。
外傷後に強い痛みや腫れがある、急に体重をかけられなくなった場合は、歩行を中止して看護師・医師へ報告します。
参考情報・参考文献
米国国立医学図書館 NCBI MedGen「Genu recurvatum」
膝関節が後方へ反る過伸展という定義を確認。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/medgen/107486
参照日:2026年10月8日
ユトレヒト大学医療センターほか Geerarsら「Treatment of knee hyperextension in post-stroke gait. A systematic review」
脳卒中後歩行の膝過伸展、訓練・装具の研究とエビデンスの限界を抄録で確認。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34695721/
参照日:2026年10月8日
ルーヴァン・カトリック大学 Mont-Godinne大学病院ほか Bleyenheuftら「Treatment of genu recurvatum in hemiparetic adult patients: a systematic literature review」
原因を考慮した個別対応の必要性を抄録で確認。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20153279/
参照日:2026年10月8日
