膝ロック
ひとことでいうと
膝ロック
膝ロック(ひざろっく)とは、立ち上がりや移乗などの介助を行う際に、介助者の膝や脚をご利用者様の膝周辺に当てて支え、膝が不安定になることを防ぐ介助方法です。
特に、下肢の筋力低下や麻痺などによって膝で身体を十分に支えられない方では、立ち上がったときに膝が急に曲がる「膝折れ」が起こることがあります。膝ロックは、こうした膝折れによる転倒を防ぎ、立ち上がりや移乗を安全に行うための支えとして使われます。
ただし、「膝ロック」という言葉は、装具の膝継手を固定する意味でも使われます。実際に理学療法領域の文献では、長下肢装具(KAFO)の膝継手を固定することを「膝ロック」と表現しています。
Kaigo Skillsの辞書では、介護現場で行われる介助技術としての「膝ロック」を中心に解説します。
どのような場面で使う?
膝ロックは、立ち上がり、着座、ベッドと車椅子間の移乗、トイレでの移乗など、ご利用者様が下肢で身体を支える必要がある場面で使われます。
特に、片麻痺がある方や下肢の筋力が低下している方など、立位になったときに膝が不安定になる場合には、介助者が膝を支えることで動作を安定させやすくなります。
一方で、膝ロックは「強く膝を押さえ込む技術」ではありません。必要以上に固定すると、ご利用者様自身が持っている力や自然な体重移動を妨げる可能性があります。
そのため、膝折れの危険性やご本人の身体機能に合わせて、必要な分だけ支えることが大切です。
現場で知っておきたいポイント
膝ロックを行うときに重要なのは、「膝を固定すれば安全」と考えないことです。
立ち上がりや移乗では、足の位置、前傾、重心移動、下肢の筋力など、さまざまな要素が関係しています。膝だけを強く押さえても、身体の重心が適切に移動していなければ、かえって動きにくくなることがあります。
実際に、長下肢装具を使用した歩行に関する研究でも、膝関節の状態だけでなく、重心を移動させるタイミングや介助量など、介助者の技術が動作に影響することが報告されています。
介護現場でも、膝ロックだけに頼るのではなく、ご利用者様が自分の力を使いやすい姿勢をつくり、介助者と動作のタイミングを合わせることが重要です。
また、膝の痛みや変形がある場合などは、無理に膝ロックを行わず、その方に適した介助方法を検討します。
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参考情報・参考文献
森井麻貴・田口潤智・堤万佐子・中谷知生「脳卒中片麻痺患者の装具療法における介助歩行技術について―立脚期における膝関節屈伸角度の違いに着目して―」理学療法学Supplement
2019年 第46巻 Suppl. No.1
参照日:2026年9月7日
