下痢
ひとことでいうと
下痢
下痢とは、便の形状が軟便または水様便となり、排便回数が増加している状態です。日本消化管学会のガイドラインでも、この2つを組み合わせて下痢を定義しています。
単に「便が少し軟らかかった」というだけで、必ずしも下痢と判断するわけではありません。排便回数には個人差があるため、普段の排便状態と比べてどう変化したのかを見ることも大切です。
便の形状を客観的に確認するときには、**ブリストル便形状スケール(BSFS)**が用いられます。便の状態をタイプ1〜7に分類することで、「軟らかい」「水っぽい」といった表現だけよりも具体的に共有できます。
下痢の原因は一つではなく、感染症、薬剤、食事、消化管疾患などさまざまです。そのため、下痢という症状だけから原因を決めつけないことが重要です。
急性下痢と慢性下痢の違いは?
下痢は、症状が続いている期間によって考え方が変わります。
特に4週間以上にわたって下痢が持続または反復し、日常生活にさまざまな支障をきたしている状態は「慢性下痢症」と定義されています。
一方、急に起こった下痢では感染性腸炎などが原因となることがあります。
また、介護現場で特に注意したいのが、「水っぽい便が出ている=下痢」とは限らないことです。
便秘や糞便塞栓が背景にあり、その周囲から軟らかい便や便汁が漏れ出す溢流性便失禁でも、見た目には下痢のように見える場合があります。
そのため、現在の便だけでなく、それまでの排便経過を確認することが重要です。
現場で知っておきたいポイント
高齢者の下痢では、脱水や全身状態の変化に注意することが重要です。
介護現場では「下痢あり」だけで終わらせず、
いつから始まったか、排便回数、便の量、ブリストル便形状スケールのタイプ、腹痛・嘔吐・発熱・血便などの有無、食事・水分摂取量、使用している下剤などを確認すると、医療職へ状態を伝えやすくなります。
また、刺激性下剤や浸透圧性下剤などを使用している場合には、服薬状況と排便状態をセットで確認することも大切です。
下痢が続いているからといって、介助者の判断だけで処方されている下剤などを中止・減量せず、医師・看護師・薬剤師へ状態を共有します。
さらに、強い腹痛、繰り返す嘔吐、血便、著しい腹部膨満、意識状態や全身状態の変化などがみられる場合には、通常の排便記録だけで経過を見るのではなく、速やかな医療職への相談が必要です。
参考情報・参考文献
日本消化管学会「便通異常症診療ガイドライン2023―慢性下痢症」
2023年7月13日
参照日:2026年9月19日
日本消化器病学会「過敏性腸症候群(IBS)診療ガイドライン2020(改訂第2版)」
2020年7月15日
参照日:2026年9月19日
