訪問介護の関係団体は9月10日、厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会で、訪問介護の基本報酬を引き上げるよう求めた。団体が示した会員調査では、回答した事業所の57%が前年度の収支を赤字とし、75%が今後のサービス継続に不安を感じていた。
意見を述べたのは、全国ホームヘルパー協議会と日本ホームヘルパー協会。物価や人件費、移動に必要な経費が上昇するなか、現在の報酬では安定した事業運営や訪問介護員の確保が難しいとして、基本報酬の引き上げを要請した。
周辺の事業所が休止・廃止した影響により、サービスの依頼を受けきれない地域が生じていることも報告された。事業所の減少が続けば、利用者が必要な訪問介護を受けられなくなる可能性がある。
訪問介護を巡っては、2024年度の介護報酬改定で基本報酬が引き下げられた。一方、訪問介護員の高齢化や人材不足に加え、利用者宅までの移動時間、燃料費、車両維持費など、訪問型サービス特有の負担がある。
両団体は、地域の一般住宅を回ってサービスを提供する事業所と、集合住宅の入居者を中心にサービスを提供する事業所では、移動時間や運営形態が異なることも指摘した。事業形態の違いを踏まえた報酬上の評価を求めている。
集合住宅では同じ建物や近接した場所で複数の利用者にサービスを提供できる。一方、地域を回る事業所では、訪問ごとに移動が必要となり、移動時間中は介護報酬を算定できない。訪問件数だけでは捉えにくい運営コストを、次の介護報酬改定でどのように評価するかが焦点となる。
今回の57%と75%は、両団体が示した会員調査の回答結果であり、全国すべての訪問介護事業所の割合を示すものではない。ただ、地域の在宅生活を支える訪問介護の厳しい経営状況を示す結果として、今後の報酬改定に向けた議論が注目される。
